令和8年度施政方針(令和8年田原市議会第1回定例会)
渥美半島を元気に!!「未来をひらき、魅力あるたはらを創る」予算
はじめに
田原市議会 令和8年第1回定例会の開会にあたりまして、新年度における市政運営の基本方針と予算の大綱を申し上げ、議員各位をはじめ、市民の皆さま方のご理解とご協力を賜りたいと存じます。
さて、私の市長としての3期目の任期も、早いもので残り1年余りとなりました。この間、「渥美半島を元気に!」との思いを胸に、一つ一つ着実に市政運営に取り組み、さまざまな課題に全力でチャレンジしてまいりました。引き続き、令和8年度も、「住んで良かった」「住んでみたい」と思っていただけるようなまちを目指し、市政運営に邁進してまいります。
社会・経済動向と今後の展望
さて、わが国においては、消費者物価は、エネルギー価格の高騰や円安の影響などで上昇傾向が続き、長期にわたるデフレからは脱却の局面にあります。しかし、賃金の伸びは物価上昇に追いつかず、食料品を中心とした物価上昇により、個人消費は力強さを欠いております。そのような中で、先月、衆議院議員総選挙が行われ、これまでと国会の勢力図が大きく変わりました。今後の政策を注視するとともに、引き続き地元選出議員の方々との連携を強化し、本市の発展により一層ご尽力いただくことを期待しております。
また、海外に目を向けますと、各国の通商政策など、世界経済に及ぼす影響は不透明なため、引き続き、製造業や農業など、本市への影響を注視していく必要がございます。そして、国の経済見通しでは、所得環境の改善が進む中で、各種政策効果も下支えとなり、個人消費が増加するとともに、危機管理投資・成長投資の取組が進展する中で、設備投資も増加するなど、引き続き、国内需要中心の経済成長となることが期待されております。そのため、今後の強い経済成長と物価安定の両立の実現に向けて、経済成長の果実を広く国民に行き渡らせ、誰もが豊かさを実感し、未来への不安が希望に変わり、安心できる社会の実現を目指すとしており、本市においてもこれらの動きを的確に捉え、未来を見据えた取組を進めてまいります。
振り返り
昨年を振り返りますと、将来を担う子どもや子育て世帯を積極的に応援するため、保育園・こども園の保育料および給食費の無償化、小中学校入学応援金の支給、18歳までの医療費無償化などに加え、新たな支援策として、小中学校給食費の半額支援、そして高校生などへのバス通学費の助成拡充などに取り組んでまいりました。
また、農業分野では、昨年公表された市町村別農業産出額において、本市の農業産出額が5年連続全国2位となり、これまで取り組んできた成果が着実に表れております。
三河港田原地区では、愛知県の事業として、田原公共ふ頭のマイナス10m耐震強化岸壁の整備が、完成に向けて着々と進んでおります。現在も、臨海部への企業進出が着実に進んでおりますが、これにより、船舶の大型化への対応やバルク貨物輸送の効率化、大規模災害の発生に備えた機能強化につながりますので、これを契機に、港を利用する企業など、さらなる企業進出が進み、地域経済の活性化が図られることを期待しております。
また、昨年9月には、伊良湖周辺が県内3か所目となる「みなとオアシス伊良湖」として国土交通省から登録を受けました。道の駅伊良湖クリスタルポルトを中心に、地元で水揚げされた水産物で作る「Sea級グルメ」なども活用し、伊良湖地域の新たな賑わいの創出を目指してまいります。
この他にも、昨年はワールドサーフィンゲームス以来7年ぶりのサーフィン世界大会を開催し、世界のトップサーファーが熱戦を繰り広げました。そして今年は、アジア競技大会のサーフィン競技の開催が予定されております。この機を捉え、本市の魅力をアジアに向けて発信することで、市全体のブランド力を高めるとともに、スポーツの力による地域活性化を図ってまいります。
予算編成の重点施策
それでは、令和8年度予算の大綱について、ご説明いたします。
予算編成における重点施策として、引き続き「住み続けたいまちづくり」、「住んでみたい・訪ねてみたいまちづくり」、「未来につながるまちづくり」の3つの柱を掲げ、元気な渥美半島の実現に向けて取り組んでまいります。
(1)予算の概要
令和8年度の一般会計予算額は、前年度と比較し、「16億3千万円」の増加となる「349億2千万円」となっております。
特別会計と企業会計の合計「158億9千万円」を含めますと、全体では「508億1千万円」となり、前年度と比較し、「21億2千万円」増加しております。
歳入の状況につきましては、市税は「161億3千万円」を見込み、前年度と比較し「8億9千万円」の増加となっております。これは、固定資産税の増加が主な要因となっております。
また、ふるさと納税の増加により寄附金が増加となっております。
一方で、普通交付税につきましては、不交付団体の状況が続くと見込まれ、市債や基金からの繰入金は、前年度と比較し減少しております。
次に、歳出の状況につきましては、行政サービスの再構築や公共施設の適正化などを進めるとともに、重点施策に基づき、将来を見据えた取組を着実に進めてまいります。
性質別では、人件費や扶助費などの「義務的経費」につきましては、「147億4千万円」となり、前年度と比較し「6億4千万円」増加しております。これは、人事院勧告に伴う人件費の増加が主な要因となっております。
物件費や維持補修費などの「その他経費」につきましては、「158億9千万円」となり、前年度と比較し「11億8千万円」増加しております。
そのうち、補助費等が「8億8千万円」、積立金が「4億円」の増加となっておりますが、これは県から補助金を受けて実施する新規就農者への補助事業や、「ふるさと納税」に係る基金への積立が主な増加要因となっております。
また、普通建設事業費などの「投資的経費」につきましては、当初予算に計上した「43億円」に、令和7年度からの繰越事業分を加え、合計「60億8千万円」を確保し、将来に向けた投資をしっかりと行ってまいります。
(2)令和8年度の重点施策
引き続きまして、3つの重点施策について、それぞれご説明いたします。
住み続けたいまちづくり
まず、大きな1点目の「住み続けたいまちづくり」でございます。
妊娠・出産・子育て分野では、昨年度に引き続き、将来を担う子どもたちが健やかに育つことができるよう、切れ目のない子育て支援に、より一層力を入れて取り組んでまいります。これまで取り組んできた「365日保育」、「保育園・こども園の保育料および給食費の無償化」、「小中学校入学応援金の支給」などに加え、新たな支援策として、「こども誰でも通園制度」や「小中学校給食費の無償化」を実施してまいります。
また、現在開設している「病後児保育室」に加え、新たに「病児保育室」を開設し、働く保護者の負担を軽減し、子育て支援を強化してまいります。さらに、こども食堂や学習支援教室などの「こどもの居場所づくり」を支援し、子どもが学校や家庭以外で安心して過ごすことができる環境づくりを進めてまいります。そして、安心して妊娠・出産を迎えられるよう、伴走型の相談支援や妊産婦のタクシー利用助成などに加え、特定不妊治療と併用して行われる先進医療についても、助成対象を拡充してまいります。また、保育園では、適正な集団保育規模を確保し、多様な保育ニーズへ対応するため、第一保育園と中部保育園を統合し、新園舎の整備に向けた取組を進めてまいります。
教育分野では、グローバル化に対応するため、中学校において、AIを活用した英語学習や海外の生徒とオンラインで交流ができるICT英語学習教材を導入するとともに、小学校において、ALTを増員し、外国語学習と国際理解教育の充実を図ってまいります。また、童浦小学校の長寿命化改修や屋内運動場への空調設備の整備、バリアフリー化などを計画的に進め、児童生徒の教育環境の向上に努めてまいります。そして、今後も少子化が進み、児童生徒が減少していくことが見込まれる中で、子どもたちの質の高い教育環境を確保するため、地域性を踏まえた今後の小中学校の望ましい在り方や、整備の方向性を示す、「学校未来創造計画」の改定に取り組んでまいります。また、児童クラブにつきましては、開設時間の延長をはじめとする多様なニーズへの対応や、人員管理の負担軽減などを図るため、民間事業者へ包括運営委託し、利用者サービスの向上に努めてまいります。さらに、小中学校のプール集約化と併せ、子どもから高齢者までの交流を生み出す場として、市民プールや子育て応援、健康増進などの多様な機能を備えた「多世代交流施設」の整備を引き続き進めてまいります。
次に、福祉・医療分野では、高齢者や障がい者など、誰もが安心して暮らせる地域共生社会の実現に向けて、重層的支援体制の充実に努めるとともに、地域の介護人材の確保や介護予防・フレイル予防の推進に努めてまいります。また、地域医療の拠点である渥美病院の機能の維持・充実を図るため、医療従事者の確保や、救急医療体制および周産期医療体制の確保、医療機器の整備などに対する支援を行うとともに、赤羽根診療所の安定的な運営など、誰もが安心して暮らせる医療基盤の確保・維持に努めてまいります。さらに、男性へのHPVワクチン接種の費用助成や、妊婦へのRSウイルスワクチン接種の定期接種化など、感染症予防に努めてまいります。
住んでみたい・訪ねてみたいまちづくり
次に、2点目の「住んでみたい・訪ねてみたいまちづくり」でございます。
市民の皆さまの生活を支える基盤となり、地域全体の持続的な発展につなげるため、農業や水産業、商工業などの地域産業の振興に積極的に取り組んでまいります。中でも、全国トップクラスの産出額を誇る農業では、農地の集約化などの基盤整備や、スマート農業の推進による生産性・効率性の向上を図るとともに、新規就農者など次世代を担う多様な担い手の確保・育成に努め、安定的な農業経営に向けた取組を進めてまいります。
水産業では、近年、アサリ漁の著しい不漁が続き、漁業者の経営が深刻な状況にある中で、ブランド化されている垂下アサリの取組を後押しすることに加え、今年度から実証実験を行っているICTを活用したスマートカキ養殖の取組を継続し、販売・ブランド化につなげることで、安定的で持続可能な水産業の実現を目指してまいります。また、愛知県との連携の中で、本市に立地する愛知県栽培漁業センターを活用し、育てる漁業の推進を図ってまいります。
そして、三河田原駅周辺で整備を進めてまいりました「田原市産業会館」につきましては、今年の秋のオープンを予定しており、市内経済全体の振興を図る拠点として、中小企業者の経営の安定・向上、雇用機会の創出、創業・スタートアップなどを総合的に推進してまいります。
次に、定住・移住対策としまして、臨海部への企業進出や事業規模拡大により、従業員の増加が見込まれる中で、より多くの方に田原に住んでもらえるよう受け皿を整えていく必要があります。そのため、民間宅地開発等奨励金制度を活用した民間事業者による土地開発をより一層促進し、市街地などへの居住を誘導していくとともに、新たな住宅用地の確保などについても検討してまいります。また、「定住・移住促進奨励金」や「空き家活用補助金」などの制度を継続するとともに、赤羽根地域のサーフタウン住宅地「LaSea-THE SURFTOWN TAHARA-」の分譲や、アジア競技大会の開催などを通じて、「サーフィンのまち田原」の魅力を広く発信し、定住・移住につなげてまいります。
そして、農業公園「サンテパルクたはら」のリニューアルにつきましては、PFI事業で今年から工事に着工し、民間活力によるサービスの質や魅力の向上に努めてまいります。さらに、「日本一の花の生産地」の強みを活かし、市内各所で四季折々の花を楽しめるような景観づくりや、市民や団体などが行う花木の景勝地づくりへの支援、タハナの認知度向上および消費拡大に向けた自立的な運営体制づくりに加え、来年3月に横浜で開催される国際園芸博覧会への出展を通じて、「世界に誇れる花のまち」として、田原市産の花の魅力を広く国内外に発信することで、本市の認知度向上とまちに対する誇りの醸成につなげてまいります。
また、伊良湖地域においては、豊富な観光資源や海の玄関口という立地を最大限に活かして新たな賑わい創出を図るため、「みなとオアシス伊良湖」や「Sea級グルメ」などを活用するとともに、観光施設の立地などに対する新たな奨励金制度を設けて民間開発を誘導し、半島全体への観光誘客につなげてまいります。
加えて、首都圏での「たはらマルシェ」開催など、農産物や水産物をはじめとする本市の特産品を通じたシティセールスを引き続き推進し、「渥美半島たはらブランド」の認知度向上やふるさと納税の拡充に努めるなど、関係・交流人口の拡大につなげてまいります。
未来につながるまちづくり
最後に、3点目の「未来につながるまちづくり」でございます。
その中で、まずは、悲願であります、渥美半島における「強靱で信号のない道路」です。本市は、半島という三方を海に囲まれた地形であるため、能登半島地震と同様に、南海トラフ地震が発生すると、津波などにより幹線道路が寸断され、半島先端地域の長期的な孤立が危惧されております。伊良湖をはじめとする半島先端地域の防災機能を強化し、半島防災に早期に対応するためには、一般道を活用し、半島先端までを陸路でつなぐ「強靱で信号のない道路」を早期に整備する必要があるため、愛知県と連携して早期実現に向けて取り組んでまいります。また、能登半島地震を教訓に、道路や橋りょう、上下水道、公共交通などの公共インフラを適切に維持管理し、計画的に長寿命化を図るとともに、河川や水路、漁港、港湾につきましても、機能保全や機能強化に努め、災害に強い地域づくりを推進してまいります。そして、コミュニティ活動の拠点であり、災害時の防災拠点となる市民館につきましては、地震避難所としての収容能力の不足が懸念される田原南部市民館と和地市民館の多目的ホールの整備を引き続き進めてまいります。
交通安全対策では、多くの方が利用する三河田原駅前の歩行者用信号のない横断歩道に、歩行者の存在をドライバーに知らせる押しボタン式の横断者注意喚起灯を設置し、交通事故防止に努めてまいります。そして、中心市街地の活性化に向けて、三河田原駅周辺の低未利用地を利活用して、「たはら屋台村」の社会実験を実施し、駅周辺の賑わい創出を図るとともに、新たな飲食事業者の出店を促進してまいります。
また、歴史・文化におきましては、渡辺崋山や糟谷磯丸、近藤寿市郎など、郷土の偉人の功績を次世代に継承し、郷土への誇りと愛着の醸成(じょうせい)につなげてまいります。加えて、田原城跡周辺をはじめとする、特徴的で趣(おもむ)きのある歴史的な街並みや、「つるしかざり」などの文化を後世に継承していくため、歴史的・文化的な景観まちづくりに取り組んでまいります。
次に、持続可能なまちを目指す取組としまして、豊橋市と共同で取り組んでいる「豊橋田原ごみ処理施設」の整備をはじめとする「ごみ処理広域化」を着実に進めるとともに、老朽化する3つの資源化センターを効率的に運営し、資源ごみを適正に処理するため、3施設を存続させたうえで赤羽根環境センターへの機能集約を検討し、必要な施設整備を行ってまいります。そして、二酸化炭素排出量を2050年までに実質ゼロにする「たはらゼロカーボンシティ」の実現に向け、太陽光発電施設や蓄電池の導入に対する支援など、再生可能エネルギーの導入と有効活用を促進するとともに、公共施設の照明のLED化を推進するため、一括リース方式での導入を図るなど、脱炭素の取組を加速化してまいります。
また、デジタル社会の実現に向けて、市民課と保険年金課の窓口に番号案内システムを導入して、来庁者の待ち時間を可視化するなど、さまざまな分野でデジタル技術を活用した取組を積極的に進め、利便性向上や負担軽減につながる市民サービスを実現するとともに、デジタル技術の活用による地域の課題解決や活性化につなげてまいります。
終わりに
以上が、新年度予算の大綱と重点施策でございます。
最後になりますが、平成27年4月に市政の舵取りを担わせていただいて以来、早11年が経とうとしております。
この間(かん)、市民の皆さまとともに地域の活力と安らぎに満ちた暮らしを送ることができるよう、「渥美半島を元気に!」を合言葉に、さまざまな課題に真っすぐに向き合ってまいりました。
今後も、市民の皆さまと一緒に知恵を出し合い、将来を担う子どもたちが希望の持てるような未来を、そして魅力ある田原市を創っていきたいと思い、令和8年度予算を「未来をひらき、魅力あるたはらを創る」予算として編成いたしました。
議員各位をはじめ、市民の皆さまの格別のご理解とご協力をお願い申し上げ、令和8年度の施政方針とさせていただきます。ありがとうございました。
令和8年3月2日
田原市長 山下政良
施政方針 の全文は下記からダウンロードできます。
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