令和6年度施政方針(令和6年田原市議会第1回定例会)

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ページ番号1010882  更新日 2024年3月5日

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渥美半島を元気に!!「子育てを応援し、たはらの未来を彩る」予算

はじめに

田原市議会 令和6年第1回定例会の開会にあたりまして、新年度における市政運営の基本方針と予算の大綱を申し上げ、議員各位をはじめ、市民の皆さま方のご理解とご協力を賜りたいと存じます。

さて、私が市民の皆さまの信託を賜り、3期目の市政を担わせていただいてから、早10カ月が過ぎようとしております。
3期目の就任時に申し上げたとおり、私の目標である「渥美半島を元気にし、訪ねてみたい、住み続けたいと思っていただけるようなまちづくり」に向け、さまざまな施策に着手しているところでございます。

社会・経済動向と今後の展望

そのような中、1月1日に最大震度7の「能登半島地震」が発生いたしました。
まずは、お亡くなりになられた方々に心からお悔やみを申し上げますとともに、被災された方々にお見舞い申し上げ、一日も早い復興をお祈り申し上げます。
今回、大きな被災を受けたのは、能登地域という半島沿岸だったということもあり、「南海トラフ地震」の発生による被害が危ぶまれる本市にとっても、決して他人事ではありません。
本市でも、発災直後から職員を派遣するなど、被災地支援を行っているところでございますが、今後も、被災地のニーズに応じた支援を継続するとともに、今回の被害や復興の状況を注視し、本市における地震対策をさらに強化してまいります。

また、海外に目を向けますと、ロシアによるウクライナ侵略、イスラエル・パレスチナ情勢に加え、アメリカ大統領選挙などが予定されるなど、国際情勢の緊迫の度が高まる年となることが予想され、製造業など本市への影響を注視する必要がございます。

そして、明るい話題としては、今年はパリオリンピックの開催が予定されております。本市にゆかりのある選手の出場も期待されており、本市としても多くの選手が活躍されることを願って応援してまいりたいと思っております。

経済動向では、国は引き続き「新しい資本主義」の旗印のもと、社会課題の解決に向けた取組みを成長のエンジンに変えることによって、民間需要主導の持続的な成長とデフレからの脱却、「成長と分配の好循環」の実現を目指すとしています。
そのため、まずは総合経済対策を着実に実行し、物価高騰対策とともに国民の生活を下支えするための対策を講じるとともに、生産性向上・供給力強化を通じて成長率を高めるための国内投資の拡大を促進し、デジタルトランスフォーメーションやグリーントランスフォーメーション、スタートアップへの支援等に取り組むこととしており、本市においてもこれらの動きをしっかりと捉え、未来を見据えた取組みを進めてまいります。

振り返り

さて、昨年を振り返りますと、5月に新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが2類から5類へ移行し、行動制限のない中でさまざまなイベントが実施されました。
各地で賑わいが見られ、コロナ禍前の日常が戻りつつあることが実感できました。

このような中、本市にとって大きな出来事がございました。

まず、本市は昨年8月に市制施行20周年を迎えました。
この機会を契機に、本市のこれまでの歩みを振り返り、魅力を再発見し、郷土愛を高めるため、記念式典の開催や市民公募事業の実施など、さまざまな関連事業を行ってまいりました。
本市が、この20年で産業、教育、文化、福祉、環境など、あらゆる分野で着実に発展を遂げることができましたのも、先人が築き上げてきた地域の土台のもとで、市民の皆さまやゆかりのある多くの方々が地域発展のためにご尽力いただいた賜物と、深く感謝を申し上げます。

次に、三河港田原地区では、国の新規事業として採択された公共埠頭の水深10メートルへの増深と耐震強化岸壁の整備が開始されました。
これにより、バルク貨物輸送の効率化や船舶の大型化への対応、大規模災害の発生に備えた機能拡充につながることから、企業進出への追い風となるなど、本市への大きな波及効果を期待しています。
さらに、臨海地域において国内最大級を含む4か所の木質バイオマス発電プラントの建設も進んでおり、今後も早期完成に向けた支援を継続してまいります。

このほかにも、6月には、東三河地域の魅力を世界に発信することを目的とした「アイアンマンレース」が渥美半島を舞台に開催されました。
世界的にも注目度が高いこの大会には、日本全国、そして海外から約700名の選手が集まり、市民の皆様をはじめ、多くの方々にご協力をいただき、開催できたものと認識しております。
開催までの周知期間が短く、地域への交通規制などの情報提供の遅れなど、様々な課題はございましたが、この地域のスポーツ振興はもとより、渥美半島の素晴らしい自然をはじめとする魅力を世界に発信できたものと考えております。

予算編成の重点施策

それでは、令和6年度予算の大綱について、ご説明いたします。

令和6年度は、今後10年間のまちづくりの根幹となる最上位計画である「第2次田原市総合計画」がスタートする年となります。
本計画においては、特に今後の人口減少社会を見据え、それに適応した活力あるまちに向け、様々な主体が地域の魅力を活かしていくことを重点テーマとして掲げています。
そのため、予算編成における重点施策として、「住み続けたいまちづくり」、「住んでみたい・訪ねてみたいまちづくり」、そして「未来につながるまちづくり」の3つの柱を掲げ、元気な渥美半島の実現に向けて取り組んでまいります。

(1)予算の概要

令和6年度の一般会計予算額は、前年度と比較し、「24億3千万円」の増加となる「319億7千万円」となっております。
特別会計と企業会計の合計「152億3千万円」を含めますと、全体では「472億円」となり、前年度と比較し、「25億6千万円」増加しています。

歳入の状況については、市税収入のうち市民税が「66億1千万円」と、前年度と比較し「18億7千万円」の大幅な増加を見込んでおります。これは、法人市民税が、主な要因となっています。
また、普通交付税については、不交付団体の状況が続くものと見込んでおり、市債については、大型建設事業の実施などにより増加しています。
基金からの繰入金は、市税収入の増加などにより、「42億円」となり、前年度と比較し大きく減少しています。

次に、歳出の状況については、行政サービスの再構築や公共施設の適正化などを進めるとともに、3つの重点施策に基づき、未来を見据えた取組みを重点的に進めてまいります。

性質別では、人件費や扶助費などの「義務的経費」については、「130億7千万円」となり、前年度と比較し「2億5千万円」増加しています。
物件費や維持補修費などの「その他経費」については、「137億4千万円」となり、前年度と比較し「15億2千万円」増加しています。
そのうち物件費については、「6億6千万円」の増加となっていますが、これは「ふるさと納税」の返礼業務の委託料や廃止した施設の解体に係る費用が主な要因となっています。
また、普通建設事業費などの「投資的経費」については、当初予算に計上した「51億6千万円」に、令和5年度からの繰越事業分を加え、合計「56億円」を確保し、将来に向けた投資をしっかりと行ってまいります。

(2)令和6年度の重点施策

引き続きまして、3つの重点施策について、それぞれご説明いたします。

住み続けたいまちづくり

まず、大きな1点目の「住み続けたいまちづくり」として、「妊娠・出産・子育て、教育環境」や「福祉・医療」の充実に取り組んでまいります。

国においては、昨年、閣議決定した「こども未来戦略方針」に基づき、少子化対策・こども政策の抜本強化を図り、社会全体で子どもや子育て世帯を応援する機運を高める取組みを進めていくこととしています。
本市といたしましても、将来を担う子どもたちが健やかに育つことができるよう、特に子育て支援に力を入れて取り組んでまいります。
そのため、昨年、子育ての応援に向けて必要な財源を安定的に確保するための「こども基金」を設置いたしました。
この基金を活用し、「保育園・こども園の保育料や給食費の無償化」、「小・中学校への入学時の応援金支給」、「18歳までの医療費無償化」など、新たな取組みを始めてまいります。

また、結婚相談や婚活支援を拡充するとともに、結婚後の新生活に係る支援制度を継続し、結婚を希望する方を後押ししてまいります。

さらに、安心して妊娠・出産を迎えられるよう、産前・産後ケアに対する支援を拡充してまいります。

「教育環境」につきましては、学校施設の長寿命化を計画的に実施するとともに、コミュニティ・スクールの導入により地域と一体となって魅力ある学校づくりを進めてまいります。
また、学校部活動の縮小に伴い、部活動の地域移行に対する課題を検証するため、音楽部をモデル事業として実施してまいります。

そして、福江市街地を候補地とする市民プールにつきましては、学校プールの集約化と併せ、官民連携による運営を視野に入れ、将来に向けた賑わいづくりと併せ、具体的な整備手法について検討してまいります。

「スポーツ」では、新春の「ニューイヤー駅伝」や「箱根駅伝」において、本市にゆかりのあるチームや選手が大活躍しました。
また、2年後の2026年には、アジア競技大会のサーフィン競技が赤羽根の太平洋ロングビーチなどで開催されることが予定されています。
この機を捉え、スポーツを通して子どもたちに、夢に向かって頑張ることの大切さを学んでもらえるよう、一流アスリートによるスポーツ教室の開催を継続し、子どもたちを育んでいきたいと考えております。

「医療・福祉」につきましては、拠点病院である渥美病院における医療機器の整備や医師確保、産科および小児科の充実に対する支援、赤羽根診療所の安定的な運営など、医療基盤を維持してまいります。
また、田原福祉グローバル専門学校の運営支援を継続し、誰もが安心して暮らせるよう、地域の介護人材の確保に努めてまいります。

住んでみたい・訪ねてみたいまちづくり

次に、2点目の「住んでみたい・訪ねてみたいまちづくり」でございます。

市民の皆さまの生活を支える基盤となり、地域全体の持続的な発展につなげるため、農業や水産業、商工業など地域産業の振興に積極的に取り組んでまいります。
全国有数の産出額を誇る農業分野では、生産基盤の強化やスマート農業の推進による生産性の向上を図るとともに、新規就農者など担い手の育成に努め、安定的な経営に向けた取組みを進めてまいります。

また、日本一の花の生産地として、花のまちのPRや花木を活用した名所づくりなど、花の魅力を可視化し、「世界に誇れる花のまち」として広く市内外に発信することで、本市の認知度向上と住むまちに対する誇りの醸成につなげてまいります。

さらに、オープンから約30年を迎える農業公園「サンテパルクたはら」のリニューアルに向けて具体的な検討を進めてまいります。

水産業においては、国や愛知県と連携した支援を行うことで、漁業環境の改善を図るとともに、「守り育てる漁業」を推進してまいります。

商工業では、臨海部へのさらなる企業誘致に努めるとともに、厳しい経営環境にある中小企業の振興に向けた取組みを総合的に推進することで、地域経済の維持と活性化につなげてまいります。

次に、「定住・移住」に関しましては、これまでの「定住・移住促進奨励金」や「空き家活用」などを継続するとともに、新たな住宅地として、サーフィンのメッカである「太平洋ロングビーチ」を望む弥八島周辺において、「ラシ―、ザ・サーフタウン・タハラ」の分譲を始めます。
「ラシ―、ザ・サーフタウン・タハラ」は、田原市サーフタウン構想に基づいて開発を進めてきたもので、25区画の宅地分譲を予定しております。
この地域において、サーフタウンのイメージに合った統一感のある街並み景観を形成していくことで、多くのサーファー等を呼び込むとともに、本市が進めるサーフィンの魅力を活かしたまちづくりを、全国に向けて広く発信する機会としてまいります。

また、「渥美半島たはらブランド」や「ふるさと納税の返礼品」など、特産品を通じたシティセールスを推進するとともに、渥美半島ならではの観光資源の魅力を広く発信し、「関係・交流人口の拡大」につなげてまいります。

未来につながるまちづくり

最後に、3点目の「未来につながるまちづくり」でございます。

冒頭で申し上げたとおり、地震をはじめとする突発的な災害に対する備えを万全にするため、新たにドローンを導入するとともに、消防施設や車両、避難所における備蓄資材をさらに拡充してまいります。

また、能登半島地震の状況を見ましても、道路や橋りょう、上下水道、公共交通などの公共インフラは非常に重要性が高く、必要不可欠であるため、能登半島地震の教訓を活かして、適切な維持・管理、長寿命化を図ってまいります。
なかでも、ここ数年の線状降水帯による大雨で浸水被害が発生した河川につきましては、原因の特定や整備手法の検討を進め、計画的な治水対策による被害の軽減に努めてまいります。

これらの公共インフラの確保に加え、生活の基盤となる田原・赤羽根・渥美の3つの市街地の活性化を図るとともに、地域の担い手である地域コミュニティ組織の活動を引き続き支援し、住みやすいまちづくりを進めてまいります。

また、「ごみ処理広域化」につきましては、エネルギー回収の向上や財政負担軽減に向け、豊橋市と共同で「豊橋田原ごみ処理施設」を建設しているところでございます。
令和7年度からは、豊橋市の施設へ搬入するため、本市におけるごみ中継施設の整備などを進めております。

さらに、国が進めているデジタルの力による社会変革について、本市においても、さまざまな分野においてデジタル技術の導入促進と支援を行ってまいります。

また、マイナンバーカードを核とする新たな取組みを積極的に進め、利便性向上や負担軽減につながる市民サービスを実現するとともに、デジタルの活用による地域活性化を目指してまいります。

最後に、本市の悲願である「渥美半島道路」でございます。

移動時間の短縮、定時性の向上、強靭化を図る「渥美半島の先端までの信号の無い道路」は、産業の振興や人々の安心安全、地域の交流を支えるため、必要不可欠なものであり、災害時に命をつなぐ緊急輸送道路としても重要な役割を期待しております。
現在の構想路線から計画路線へと進展させるためには、市民や団体、事業者など、地域が一丸となった取組が必要となりますので、この機運をさらに高め、早期実現につなげてまいりたいと考えています。

終わりに

以上が、新年度予算の大綱と重点施策でございます。

最後になりますが、平成27年4月に市政の舵取りを担わせていただいて以来、本年は10年目という節目を迎えます。

この間、市民の皆さまとともに地域の活力と安らぎに満ちた暮らしを送ることができるよう、「渥美半島を元気に!!」を合言葉に、さまざまな課題に真っすぐに向き合ってまいりました。

今後も、市民の皆さまと一緒に知恵を出し合い、本市の未来を担う子どもたちを育み、夢を持てる、誇りに思えるような「まち」をつくっていきたいと思い、令和6年度予算を「子育てを応援し、たはらの未来を彩る」予算として編成いたしました。

議員各位をはじめ、市民の皆さまの格別のご理解とご協力をお願い申し上げ、令和6年度の施政方針とさせていただきます。ありがとうございました。

令和6年2月29日

田原市長 山下政良

施政方針 の全文は下記からダウンロードできます。

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