市長所信表明(平成27年田原市議会第2回定例会)

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ページ番号1001371  更新日 2016年2月27日

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市長所信表明

写真:平成27年田原市議会第2回定例会のようす

(平成27年6月1日)

はじめに

田原市議会平成27年第2回定例会に臨むにあたり、こうして、市政運営について所信表明の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。

また、4月の市長選挙におきましては、市民の皆様から、温かく、多大なるご支援をいただきました。この場をお借りして、厚くお礼申し上げます。

3代目の田原市長として、市政の舵取りを任せていただけることは、誠に光栄に存じます。本日この場に立ち、改めてその重責に身が引き締まる思いと同時に、6万4千人の、田原市民の皆様の期待に応えていかなければならないと、決意を新たにしているところであります。

私は、繰り返し「渥美半島を元気に!」と発信してまいりました。その根底にありますのは、先人の皆様により築き上げられた、この宝物のような渥美半島を、さらに元気にしていきたいという思いと、郷土を愛する気持ちの表れにほかありません。

振り返りますと、昭和42年に旧田原町役場に入庁し、平成21年に定年退職するまでの42年間、職員として、一心不乱にまちづくりに携わってまいりました。その間、地域の人々の知恵と情熱により成し遂げられた、田原市の目覚しい発展を目の当たりにしてまいりました。

退職後の6年間は、地域活動やボランティア活動に積極的に参加し、一市民として地域貢献に取り組み、市民感覚を肌で感じてまいりました。

そうした中で実感したことは、田原市を支えているのは、やはり住んでいる人々であり、地域コミュニティであるということです。

その人々をやさしく包み込んでいるのが、美しく豊かな自然環境であり、そうした中で育まれた人々によって、日本一の農業、そして、漁業・商工業・観光などの活発な産業が形づくられてまいりました。

常に将来を見据え、努力を惜しまず地域の発展を支えてきた、先人の皆様のまちづくりに取り組む姿勢を、私たちはしっかりと守っていかなければなりません。

この地域をさらに発展させていくため、議員の皆様には、市政に対する格別なご理解とご協力を賜るよう、お願い申し上げます。

市を取り巻く現状と課題

さて、日本全体の現状に目を向けてみますと、私たちが直面している最も大きな課題は、少子高齢化、人口減少社会への対応であると言えます。

国におきましては、昨年から、人や資源の東京一極集中の是正や地方の活性化、人口増加策等を促す「地方創生」の取組を進めています。重要な視点ではありますが、これまでもさまざまな形で人口減少対策に取り組んでいる中で、さらにそれを推し進めることは、決して容易なことではないと感じています。

景気は回復傾向にあるものの、それが社会の隅々で実感できるまでには広がっておらず、世界経済の影響にも左右されることから、中長期的な社会経済を予測することは困難な状況にあります。

また、TPP交渉や税制改革など、国が推し進める政策によっては、本市にも大きな影響が及んでまいりますので、引き続き動向を注視する必要があります。

このような、大きな社会のうねりの中で、本市の状況に目を向けますと、地域経済の動脈となるべき幹線道路整備の立ち遅れと、市民の安心を支える地域医療の衰退が、緊急の課題であると考えております。

これからの田原市を支える人材育成、人口増加という視点では、教育環境の充実、結婚や子育て支援も重要な課題です。

そして、地域経済を将来にわたり支えていくためには、若者の就業先の確保、基幹産業である農業の後継者育成など、地域の特性に則した施策の充実が求められています。

さらに、市街地のにぎわいづくりや住み良さの向上、一層の防災対策の充実により、まち全体の魅力をアップさせ、市内外に発信していく必要があると認識しています。

市政運営の基本姿勢

こうした中で、私は、改めて「渥美半島を元気に!」という思いを基本姿勢に、市政運営に取り組んでまいりたいと考えています。誰もが「安心して住める」「住んで楽しい」と思えるようなまちづくりが理想であり、これは、「地方創生」の考え方に合致するものでもあります。

これまでの行政職員としての経験や、さまざまな市民活動での経験から、「市民のための行政」が強く求められていることを実感しています。

従いまして、市民の不安や困りごとを着実に取り除きながら、本市が取り組んできた「市民協働」を一歩進め、市民と行政の信頼関係を強めるとともに、活発な地域コミュニティ活動や、ボランティア活動などの市民活動が、さらに活性化するよう応援していきたいと考えております。

また、さきに触れました諸課題は、一朝一夕で解決できるものは少なく、行政だけの力で実現できないものも多くあります。

まずは、「できることから手がけていく」ことを基本としながらも、腰を据えて取り組むべき課題には、市内外のあらゆる分野の皆様にお力添えをお願いしていきたいと考えております。

いずれにいたしましても、市民の皆様からあずかった税金を、できる限り皆様に納得していただけるような使い方をすることが大切です。

関係機関や市民の皆様と一緒に、「暮らしをつくる」という感覚で、まちづくりに取り組み、みんなが安心感を抱き、誰もが夢を持てるような、元気な渥美半島の実現にまい進してまいりたいと考えております。

重点的な取組

それでは、市政運営につきまして、大きな3つの視点で重点的な取組の方向性をお示ししたいと思います。

1つ目としまして、「地域産業を元気にします」。「農業・漁業・商工業・観光でにぎわう田原市」をイメージして、取り組んでまいります。

地域活力の源は、何といっても地元産業が元気であることですが、そのためには、雇用の場の創出など産業振興と、それを支える環境整備が不可欠であると考えます。

日本一の農業、全国有数の工業、豊穣な海に支えられた漁業、資源に恵まれた観光など、田原市の屋台骨を支える産業が、より活性化するよう支援していく必要があります。

手始めに、中小企業の誘致や地元の人の雇用促進に、より一層取り組んでいきたいと考えております。

産業を支える環境整備としましては、立地のしやすさ、暮らしやすさを向上させるため、高速道路へのアクセス時間を短縮する幹線道路の整備促進があげられます。近隣市町村や関係機関と連携し、国・県に対しまして、国土強靭化にも資する半島縦貫軸等の整備を、強く働きかけていきたいと考えております。

また、市内外の人々に、「来てみて楽しい」「住んで楽しい」と思われるよう、伊良湖周辺を中心とする観光資源の活用や活性化、サーファーでにぎわう表浜のサーフィンスポットなどの充実にも、力を入れてまいります。

さらに、産業振興にも関連いたします地方創生の動きとしましては、過日、庁内に「まち・ひと・しごと創生本部」を設置いたしました。今月中旬には、産学官金労言の外部有識者を委員とする「まち・ひと・しごと創生連携会議」を開催し、総合戦略の策定を本格化してまいります。

2つ目としまして、「教育環境を拡充します」。「幼児から老後まで、豊かな希望を持てる田原市」をイメージして、取り組んでまいります。

地方創生のためには、出生率の向上や、結婚・出産・子育ての支援充実が重要な視点となります。

特に若い世代に、「住み続けたい」と思われるような、ライフステージごと切れ目のない子育て支援、子育て世代の暮らしやすさ、働きながら子育てできる環境づくりについて考えていく必要があります。

少子化による学校再編は、避けては通れない課題であります。本年度は、伊良湖・堀切・和地の3小学校を統合し、伊良湖岬小学校が開校いたしました。来年度は、田原中学校と野田中学校の統合が決定しており、今後も再編計画に基づき、進めていかなければなりません。

地域の声にしっかりと耳を傾けるとともに、新たに設置する総合教育会議も活用し、教育環境全体の向上につながるよう努めていきたいと思います。

また、地元産業の元気に直結するような、渥美半島で求められる専門性の高い人材を育成する仕組みづくりも、検討していく必要があります。

以前、本市において農業大学院大学設立の動きがあり、実現には至りませんでしたが、農業後継者のための農業短大など、専門性の高い高等教育機関の実現を目指し、課題の整理等を行ってまいりたいと考えています。

さらに、超高齢化社会への対応や地域医療の充実を視野に、医療・福祉系の短大等についても、実現の可能性を検討してまいりたいと考えています。

3つ目としまして、「医療・防災を充実します」。「誰もが安心して暮らせる、やさしい田原市」をイメージして、取り組んでまいります。

近年、地域医療を支える開業医の高齢化や閉院が進んでおり、市内には、無医村に近い地域もあります。

総合病院である渥美病院でも、医師や看護師の不足、産婦人科・小児科等の縮小が大きな課題となっており、特に小児科は現在入院ができない状況にありますので、市としてできる対応を、早期に考えていきたいと思います。

本市は、これまで、高度医療機器の導入支援や医師確保修学資金等の貸与など、積極的に取り組んでいますが、更なる効果的な施策の検討も必要であります。安心できる地域医療体制の充実のため、近隣市や関係機関、地域と連携し、一緒に知恵を絞っていきたいと思っています。

また、本年度から事業着手する津波避難マウンドの整備など、重点的な投資を行っている防災対策につきましても、スピード感を持って施策を進め、災害に強い地域づくりを推し進めてまいります。

さらに、暮らしの安心を守る福祉制度についても、充実を図っていきたいと考えています。

以上、3つの大きな視点のほか、私の公約について姿勢を明確にいたします。

さきほど申しました「できることから手がける」こととして、まず、私の在職期間中における市長の給与を10%削減します。本定例会において、関連する条例の一部改正案をご審議いただきます。

また、副市長は1人体制を維持します。条例につきましては、2人以内という規定になっておりますので、現段階では改正はせずに、1人体制を続けていきたいと考えています。

市政運営にあたりましては、常に改革の視点で取り組んでいかなければなりません。削減できるものは削減し、投資すべきものには投資し、質を高めていく必要があると考えております。

これら、私の公約の具現化も、行政改革の一端であることをご理解いただきたいと思います。

むすびに

私は、長きにわたり、ボランティアとして国際交流活動にかかわってまいりました。草の根の市民交流を続ける中で、海外に多くの友だちもできました。

「思えば思わるる」ということわざがあります。自分が相手に好意的になれば、相手も好意的になってくれるという意味ですが、言葉も、文化も異なる海外の人々と分かり合えたのは、まさしく「思えば思わるる」の精神があったからだと思います。

まちづくりにおきましても、それは同じであると考えています。たとえ立場や意見が異なることがあっても、同じ地域で暮らす私たちの心の根幹に流れるのは、「地域を良くしたい」という、共通した思いであることにほかありません。

今後の市政運営におきましても、この、「思えば思わるる」の精神を大事にしていきたいと思います。

また、誰もが、そういう気持ちになれるような、元気な渥美半島を、ぜひとも一緒につくってまいりましょう。

むすびにあたり、改めて、市民の皆様並びに議員の皆様に、格別なる市政へのご理解とご支援を賜るようお願い申し上げ、私の所信表明といたします。

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