令和4年度施政方針(令和4年田原市議会第1回定例会)

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ページ番号1009378  更新日 2022年3月2日

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渥美半島を元気に!!「新たな価値により、未来へステップアップ」

はじめに

田原市議会 令和4年第1回定例会の開会にあたりまして、新年度における市政運営の基本方針と予算の大綱を申し上げ、議員各位をはじめ、市民の皆さま方のご理解とご協力を賜りたいと存じます。

先日、北京での冬季オリンピックが閉幕し、日本選手もかつてない好成績のうちに大会を終了することができました。人種や宗教などを超えて、それぞれの国の威信をかけ、同じフィールドで、選手たちが力いっぱい競技する姿を見て、改めてスポーツの素晴らしさを感じました。今週末にはパラリンピックが開幕いたしますので、日本選手の活躍に期待したいと思います。

一方、ロシアによるウクライナへの武力侵攻は、アジアを含む国際秩序に影響する大変深刻な事態となっています。今後の動向によっては、我が国の経済や市民生活に影響が及ぶ可能性もあり、引き続き状況を注視していく必要があります。

市長として2期目の任期も、早いもので3年が過ぎようとしており、令和4年度は在任期間の最終年度となります。
就任以来、「渥美半島を元気に!」との思いを胸に、積極的に市政運営に取り組み、さまざまな課題に全力でチャレンジしてまいりました。
人口減少、少子高齢化の進行に加え、新型コロナウイルス感染症など新たな課題が生じるなか、農業をはじめとする地域産業の活性化や「365日保育」による子育て支援、赤羽根診療所の開設による地域医療の充実、三河田原駅の周辺整備など、将来へとつながる取組について、着実に前に進むことができたと思っています。
令和4年度も、今まで以上に、「田原市に住んで良かった」、「田原市に住んでみたい」と思っていただけるようなまちを目指し、市政運営に邁進してまいります。

昨年の振り返り

まず、喫緊の課題である新型コロナウイルス感染症に関しましては、市民の皆さんの命と生活を守るという強い決意のもと、関係者が一丸となって全力でワクチン接種に取り組んでまいりました。
市民の皆さんや医療関係者のご理解・ご協力のおかげで、本市における12歳以上の接種率は85%を超え、感染状況は一旦落ち着きを見せました。
しかし、全国的に新たな変異株が第6波として急拡大し、本市においても感染者が急増するなど、いまだ油断できない状況です。
現在は、3回目のワクチン接種を順次実施しているところですが、今後も市民の皆さんが安心・安全な日常生活を取り戻していけるよう、国や愛知県、医療機関などと連携しながら、迅速かつ確実に取り組んでまいります。

また、多様化する行政ニーズに対応するため、積極的に民間活力の導入を進めてまいりました。
昨年4月には、超高齢化社会に対応した介護の担い手を養成するため、これまで公立で運営してきた「田原福祉専門学校」が、新たに社会福祉法人福寿園が運営する「田原福祉グローバル専門学校」としてスタートいたしました。
そして、これまで進めてきた保育サービス充実の一環として、この春には3つの保育園を統合・民営化した幼保連携型認定こども園「あかばねこども園」が開園いたします。

さらに、今後は観光等の産業振興を図るため、一般社団法人へと移行する「渥美半島観光ビューロー」と連携し、温泉運営やふるさと納税について新たな仕組みづくりを進めてまいります。
可能な分野については、できるだけ民間と連携することにより、これまで市が培ってきた理念に民間の柔軟な発想と実行力を加えることができ、将来に向けて質の高い行政サービスを提供できるものと考えています。

社会・経済動向と今後の展望

さて、昨年公表された令和2年国勢調査の結果では、全国の人口は1億2,614万人となっており、5年前と比較して約95万人の減少と、一つの都道府県に匹敵するほどの規模で人口減少が進展しています。
全国の市町村のうち約8割で人口が減少しており、本市についても5年前と比較して約3千人の減少と、依然として急速に少子・高齢化が進んでいる状況です。

また、政府によりますと、国の経済は、昨年9月の緊急事態宣言等の解除後に一旦持ち直しの動きが見られましたが、今後も変異株を含めた感染症による経済への影響等を注視する必要があるとされています。
国においては、「成長と分配の好循環」と「コロナ後の新しい社会の開拓」をコンセプトとする「新しい資本主義」を実現すべく、全力で取り組むこととしているところです。

本市においても、これらの動きをしっかりと捉え、未来を見据えた新しい分野に取り組んでまいります。
なかでも、「デジタル化」や「グリーン化」を積極的に進めるとともに、引き続き定住・移住促進に取り組み、この地域の魅力を活かした持続可能な地域社会の実現を目指してまいります。

そして、いよいよこの春に、長年の念願だった「伊良湖温泉」が誕生します。
この温泉を契機として、健康やスポーツ、本市の誇る農業や漁業、特に渥美半島ならではの景観を生かしたサーフィンやサイクリングとの相乗効果により、観光事業者や市民の皆さんと一緒になって、新たな観光地としての魅力を広くPRしてまいります。
また、港湾機能の維持や鳥羽伊良湖航路の存続、伊良湖地域の観光振興に向け、「伊良湖クリスタルポルト」を取得し、海の玄関口にふさわしい環境を整えてまいります。

予算編成の重点施策

それでは、令和4年度予算の大綱について、ご説明いたします。

令和4年度の予算編成における重点施策として、「住んでみたい・訪ねてみたいまちづくり」、「住み続けたいまちづくり」、そして「未来につながるまちづくり」の3つの柱を掲げ、元気な渥美半島の実現に向けて取り組んでまいります。

(1)予算の概要

それでは、予算の概要について申し上げます。

令和4年度の一般会計予算額は、前年度に比べ、「8億5千万円」の増加となる「284億8千万円」となっております。

特別会計と企業会計の合計「146億円」を含めますと、全体では「430億6千万円」となり、前年度と比較し「8億3千万円」増加しています。

歳入の状況については、市税収入のうち市民税が「51億1千万円」と前年度と比較し「13億9千万円」の増加を見込んでおります。

また、国の予算に伴う大規模事業の実施により、県支出金が「31億6千万円」と「13億3千万円」増加しています。

次に、歳出については、必要な行政サービスの内容や運営体制を見直すことで、スリム化を図ってまいりますが、デジタル化などの未来につながる取組については、重点的に取り組んでまいります。

性質別では、「義務的経費」については「130億8千万円」となり、「4千万円」減少しています。そのうち、扶助費については「1億1千万円」の増加となっていますが、これは「あかばねこども園」の開園による施設型給付費の増加によるものです。

物件費や維持補修費などの「その他経費」については、「119億8千万円」と、前年度と比較して「5億1千万円」増加しています。

また、普通建設事業費などの「投資的経費」については、当初予算に計上した34億1千万円に、繰越事業分を加え、合計48億6千万円を確保し、将来に向けた投資をしっかりと行ってまいります。

(2)令和4年度の重点施策

引き続きまして、3つの重点施策について、それぞれご説明いたします。

住んでみたい・訪ねてみたいまちづくり

1点目の「住んでみたい・訪ねてみたいまちづくり」では、まず、「地域の特色を活かした産業振興」として、農業や水産業、商工業など地域産業の振興に積極的に取り組み、地域全体の持続的な発展につなげてまいります。

全国有数の産出額を誇る農業分野では、生産性向上や経営継続に向けた取組を進めるとともに、スマート農業や脱炭素化農業など、先端技術の導入を推進します。

また、これまで国内外で開拓してきた販路を確保するとともに、コロナ後の流通の変化を踏まえ、新たな販路やPR手法について検討してまいります。

特に、日本一の産地である花きについては、昨年、好評だった田原の花の定期便「タハナ」をさらに拡充し、花のある暮らしを提案してまいります。


水産業においては、国や愛知県と連携した支援を行うことで、漁業環境の改善を図るとともに、種苗放流など資源維持に向けて適切に対応することで「守り育てる漁業」を推進してまいります。


商業では、「渥美半島たはらブランド」など、新たな商品開発に取り組み、特産品を通したシティセールスを推進するとともに、商業団体のプレミアム付き商品券の発行を支援し、市内の消費喚起と地域経済の活性化につなげてまいります。

また、工業では、三河港振興のための「田原公共埠頭のマイナス10メートル耐震強化岸壁」の早期実現を目指すとともに、臨海部において計画されている「バイオマス発電事業」の着実な立地など、さらなる企業誘致を推進してまいります。

新型コロナウイルス感染症により、本市の地域産業が大きな打撃を受けるなか、輪菊に色をつけた「カラーリングマム」や天然あさりの付加価値を高めた「渥美垂下あさり」など、意欲ある若い生産者によって需要拡大に向けた新たな取組が始まってきており、市としてもこれらを後押ししてまいります。

次に、「定住・移住」施策に関しましては、感染症の拡大やそれに伴うテレワーク等の普及を受け、地方移住への関心が高まってきています。

これらの働き方や暮らし方に対する意識の変化を見据え、新たに本市への「お試し移住」を支援する実証事業を行うとともに、これまでの「定住・移住促進奨励金」などを継続し、「たはら暮らし定住・移住サポーター」と協力するなど、本市への人の流れを促進してまいります。

また、市街地については、安心と賑わいのある場所となるよう取り組むとともに、新たに民間の宅地開発を支援することで、市街地での定住・移住の受け皿づくりを進めてまいります。

「関係・交流人口の拡大」の取組としましては、この地域ならではの観光に力を入れていきたいと思います。

冒頭でも触れましたが、この春からの「伊良湖温泉」の活用に向け、市内のホテルや旅館のほか、各家庭でも温泉を楽しんでいただくため「温泉スタンド」を設置するなど、「渥美半島観光ビューロー」をはじめとする関係者とともに、新たな観光資源としての魅力を広く発信してまいります。

また、全国屈指のサーフスポットという魅力を最大限に活かした「田原市サーフタウン構想」では、令和4年度中にコテージ型の民間宿泊施設が完成する予定です。

施設内に設置される予定の貸し切り風呂では、マジックアワービューをイメージした夕陽が広がる太平洋ロングビーチの美しい海岸線を眺めながら、温泉にゆったりとつかることができるようになります。

今後は、もうひとつの核となるサーフタウン住宅開発事業について、実現に向けた具体的な準備に着手してまいります。

住み続けたいまちづくり

続いて、大きな2点目の「住み続けたいまちづくり」については、「誰もが安心して住み続けられるまち」を目指し、子育て・教育環境の充実や安心・安全で快適なまちづくりに取り組んでまいります。

まず、妊産婦への支援の充実を図るため、これまでの不妊治療の助成や産後ケア等を継続するとともに、新たに不育症治療に対する助成を開始します。

「子育て支援」では、親子交流館「すくっと」を拠点とする一時預かりサービスや相談窓口を継続するほか、新たにSNSを活用したオンライン相談や情報発信を行うことで、支援体制を拡充します。

「保育」については、地域にとっても親しみと居心地の良さを感じてもらえる場所となるよう環境整備を進めるとともに、民間こども園や民営児童クラブの運営を支援することで、子育てと仕事の両立を支援してまいります。

「教育環境」につきましては、昨年4月には泉中学校と統合した新たな赤羽根中学校がスタートし、8月には伊良湖岬小学校の新校舎が竣工いたしました。

今後は、福江小学校の長寿命化改修や神戸小学校のバリアフリー化など、計画的な施設整備を行うとともに、地域と連携した魅力ある学校づくりを進め、教育環境の向上に努めてまいります。

なかでも、学校プールにつきましては、より一層の水泳授業の充実と衛生環境の確保、教員の負担軽減に向け、民間プールやインストラクターを活用した実証調査を継続し、プール集約化の検討を進めます。

また、国が推進する「GIGAスクール構想」を踏まえ、学校におけるICT環境の整備を進めるとともに、図書館においてプログラミング講座等を実施し、将来に向けたデジタル人材の育成に取り組んでまいります。

「安心・安全で快適なまちづくり」では、津波からの避難困難地域である小中山地区において、4か所の津波避難施設の整備が完了いたしました。

今後は、突発的な災害に対する備えを万全にするとともに、「高潮ハザードマップ」を作製するなど、防災意識の向上に努めてまいります。

また、特殊詐欺の被害を防止するため、新たに対策装置の購入支援を開始するなど、日々の暮らしにおいて安心感が高まるような取組を進めてまいります。

そのほか、「道路清掃車」や「道路点検システム」の導入による道路管理や、公共交通に対する支援を行い、生活に必要不可欠な公共インフラを適切に維持することで、住みやすく魅力的な都市づくりを進めます。

「医療」につきましては、引き続き新型コロナウイルス感染症への対策に万全を期すとともに、ワクチン接種について迅速に実施してまいります。

特に、地域の拠点病院である渥美病院につきましては、救急医療施設の運営や高度医療機器の整備など安定的な運営に向けた支援を行うとともに、医師確保に向けた修学資金の新規貸与を再開するなど、市民の皆さんが安心して暮らせるよう努めてまいります。

また、すべての方が性別にかかわらず自分らしく生きることができる社会の実現に向け、新たに「パートナーシップ制度」を導入してまいります。

未来につながるまちづくり

最後に、3点目の「未来につながるまちづくり」についてでございます。

これまで、あらゆる機会をとらえて、移動時間の短縮、定時性の向上、強靭化を図るため「渥美半島の先端までの信号の無い道路」の必要性について訴えてきたところです。

その思いが通じ、昨年には渥美半島を縦貫する道路「渥美半島道路」が、国と愛知県の広域道路ネットワーク計画に「構想路線」として位置付けられました。

この「渥美半島道路」は、本市の産業や観光、救急医療、災害対応にとって最も重要な道路でありますので、このことは非常に大きな一歩であり、大変喜ばしく思います。

本市のさらなる発展に不可欠である、この「渥美半島道路」を高規格道路として実現するため、引き続き国や愛知県に対して積極的に働きかけてまいります。

また、「デジタル化」につきましては、国は、感染症の拡大により露呈した課題に対応するため、地方から変革を進め、都市の活力と地方のゆとりの両方を享受する「デジタル田園都市国家構想」の実現を図っていくこととしています。

本市においても、「田原市デジタル社会形成方針」に基づき、市役所の業務だけではなく、日常の暮らしの中で誰もが便利さや安心感を実感できるよう、あらゆる分野においてデジタル技術の活用を積極的に進めてまいります。

さらに、脱炭素社会に向けては、2050年までに二酸化炭素排出量を実質ゼロにする「たはらゼロカーボンシティ」を目指してまいります。

本市がこれまで推進してきた太陽光、風力、バイオマスをはじめとする再生可能エネルギーの活用などの地球温暖化対策を拡充するとともに、市民や事業者の皆さんと連携し、環境に配慮した地域づくりを進めてまいります。

これらの取組も踏まえ、令和4年度から2か年をかけて、今後のまちづくりの指針となる新たな総合計画の策定に着手してまいります。

人口が減少する中でも、地域の活力を維持し、持続可能なまちづくりを目指すため、市民の皆さんとともに田原市のあるべき姿を描いてまいりたいと思います。

終わりに

以上が、新年度予算の大綱と重点施策でございます。

社会情勢や産業構造が大きく転換し、人々の意識や価値観が変化するなか、さまざまな分野において常識にとらわれない、自由な発想による挑戦が生まれてきています。

とりわけ若い世代を中心に起こっているこの動きは、これまで抱えてきた課題を一気に解決する突破口になるのではないかと期待しています。

苦しい状況であればこそ、勇気を持って果敢に挑戦し、新たな価値により将来の元気な渥美半島につなげていくことが重要です。

そのため、令和4年度予算を「新たな価値により、未来へステップアップ」する予算として編成いたしました。

議員各位をはじめ、市民の皆さまの格別のご理解とご協力をお願い申し上げ、令和4年度の施政方針とさせていただきます。ありがとうございました。

令和4年3月2日

田原市長 山下政良

施政方針 の全文は下記からダウンロードできます。

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