平成29年度施政方針(平成29年田原市議会第1回定例会)

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ページ番号1004868  更新日 2017年2月27日

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平成29年田原市議会第1回定例会

写真:平成29年田原市議会第1回定例会のようす

(平成29年2月27日)

「渥美半島を元気に!」「さらなる住み良さの向上を」「財政変動に対応し、ふるさと創生の活路を開く」予算編成

はじめに

田原市議会平成29年第1回定例会の開会にあたりまして、新年度における市政運営の基本方針と予算の大綱を申し上げ、議員各位をはじめ、市民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。

本年は、私が市長に就任してから2年が経過する、折り返しの年であります。
就任以来、テーマとして掲げている「渥美半島を元気に!」という思いは、まったく変わっておりません。さらなる住み良さの向上を目指し、引き続き地域活性化に取り組んでまいります。

田原市を取り巻く社会動向

さて、国においては、アベノミクス効果により、GDPは名目、実質ともに増加するなど、経済の好循環の創出に一定の成果があったとし、今後は、少子高齢化に正面から立ち向かい、成長と分配の好循環の実現を目指すこととしています。

経済の状況については、為替変動の影響を受けながらも、経済対策や実質賃金の上昇などに下支えされ、生産や個人消費等が拡大傾向にあることから、景気は引き続き緩やかな回復基調にあると認識しています。

しかし一方では、国内の設備投資が拡大していないほか、アメリカの新政権による経済政策・対日政策等の内容によっては、本市の臨海企業や農畜産業へ大きな影響を与える恐れもあるため、これらの動向を特に注視していく必要があります。

こうした中、本市の財政状況は、昨年公表した「減収危機対応プラン」のとおり、税制改正や合併算定替の縮減、固定資産税等の減収に伴い、大幅に減少していくことが避けられない状況です。また、延期されている法人市民税の税制改正が実施されれば、さらなる減少も見込まれます。

リーマンショック後に回復基調であった歳入も、平成27年度一般会計当初予算の約304億円をピークに、平成32年度には250億円台にまで減少することが予想されます。

このように、大きく変動する財政状況へ的確に対応しながらも、しっかりと地域活性化への道筋を探る必要があります。

難しい舵取りですが、「堅実性」と「攻めの姿勢」のバランスを図り、ふるさと創生の活路を開いていかなければならないと考えております。

稼ぐ力や地域価値の向上

昨年は、残念ながら「田原市に東京オリンピックのサーフィン競技会場を」という願いは叶いませんでしたが、誘致活動を通して、市民や団体、国・県の関係者との連携が深まり、地域に活力が生まれました。そして、全国有数のサーフィンスポットという資源により、田原市を広く内外へアピールできたことは、とても大きな成果でした。

今回のサーフィンのように、本市が持っている資源を、掘り出し、磨き上げ、活用していくことで、ふるさと創生の活路を開いていきたいと思います。

また、「田原市まち・ひと・しごと創生総合戦略」も3年目を迎えることから、地方創生の重点テーマである「稼ぐ力」や「地域価値」の向上を目指し、市内各エリアの個性に即した取組で地方創生を加速化させたいと考えています。

そこで、資源を活用し、地域価値を高める取組の一つとして、市が所有している未利用地の有効活用に積極的に取り組んでまいります。

田原市街地では、現在、田原駅前の市所有地へ民間ホテルの誘致を進めております。今回のホテル誘致は、来訪者の宿泊環境の充実だけでなく、まちなか広場の整備と併せて、魅力的な都市空間を創造していくことを目的としています。

同じように、田原市街地にある旧給食センター跡地を住宅用地として分譲します。これも、「未利用地の有効活用」という意味だけでなく、「定住・移住促進」「財源確保」など、複合的な効果を狙った取組でもあります。

「サーフタウン構想」も具現化を進め、土地区画整理事業とあわせて、赤羽根地域の活性化を図るほか、福江市街地の活性化や伊良湖岬周辺の魅力度向上にも取り組み、市全体を盛り上げていきたいと考えています。

就任以来の重点テーマである、幹線道路整備による半島アクセスの向上につきましては、「東三河1時間交通圏」を実現するため、「渥美半島縦貫道路」の早期事業化を、引き続き国・県に強く働きかけていきます。

同じく重点テーマである、医師空白地域への医師確保や診療体制の確保については、関係機関等への働きかけや制度設計などに取り組んでいるところです。

東京事務所は2年目を迎えます。初の試みでしたが、首都圏プロモーションや関係省庁とのネットワークづくりが徐々に進んでいます。地元関係者や他の自治体と連携したシティセールス、国への要望活動などが効果的に実施できており、ふるさと納税の促進、企業誘致にも、大きな手ごたえを感じているところです。

東三河広域連合も3年目を迎え、事務の共同処理だけでなく、「東三河まち・ひと・しごと創生総合戦略」により、これから地方創生にも共同で取り組んでいきます。引き続き、こうした近隣自治体との連携も強化したいと考えています。

予算の大綱

予算編成の基本方針

それでは、平成29年度予算の大綱についてご説明いたします。

冒頭で触れたとおり、我が国の景気は引き続き緩やかな回復基調にあるものの、本市においては減収要因が多く、厳しい財政状況が続くものと考えています。

こうした中、財政規模の恒久的なスリム化に向けて準備を進めながら、一方では、重点課題にしっかりと取り組んでいく必要がありますので、引き続き、

  • 「田原市総合計画第11期実施計画」
  • 「田原市まち・ひと・しごと創生総合戦略」
  • 「第3次田原市行政改革大綱」

などの方針に基づき、「堅実性」を踏まえつつ、「攻めの姿勢」を忘れずに、「財政変動に対応し、ふるさと創生の活路を開く」予算として編成いたしました。

また、予算編成の基本方針としまして、

  • 地方創生の加速
  • 安心・安全の推進
  • 将来に向けた創意工夫

の3つの柱を掲げ、施策を展開していくことといたしました。

予算の概要

平成29年度の一般会計歳入歳出予算額は275億8千万円で、前年度当初予算と比べ、約20億円、6.7パーセントのマイナスとなりました。

また、特別会計、企業会計との合計は、約467億8千万円となっています。

次に、歳入の状況につきまして、市税総額は約141億5千万円で、前年度当初予算と比べ、約24億円、14.6パーセントのマイナスという大きな落ち込みを想定しています。

そのほか、地方交付税が約11億円マイナスとなるほか、県支出金も約5億円マイナスと、減収要因になることが見込まれます。

一方、シティセールスの一環として、ふるさと納税を積極的に活用したことにより、寄附金が大幅増となります。

減収への対応策としましては、財政調整基金からの繰入金により、重点投資の財源を確保いたします。

財源の区分としましては、市税など自治体が自立して確保する自主財源の比率は69.0パーセント、地方交付税など国や県から交付される依存財源の比率は31.0パーセントとなりました。

次に、歳出の状況ですが、全体としましては、必要なサービス体制を維持しながらも内容を見直し、財政規模の縮小にあわせスリム化を図っています。

性質別としましては、医療や福祉にかかる扶助費が増加している一方で、職員等の人件費と借入金返済のための公債費が減少しているため、「義務的経費」全体では、前年度比マイナス2.1パーセントとなっています。

物件費や維持補修費などの「その他経費」は、全項目でマイナスとなっており、普通建設事業費等の「投資的経費」につきましても、総額で32億7千万円と、前年度比マイナス24.3パーセント、約10億円の減少となっています。

ただし、平成28年度補正予算に計上し、新年度に繰り越して実施する事業を含めると、約41億円の事業費を確保しています。

平成29年度重点施策

地方創生の加速

一点目は、「地方創生の加速」でございます。とりわけ、「定住・移住の促進」「交流人口の拡大」「雇用創出」「子育て支援」「地域の魅力・住みよさの向上」などに重点的に取り組んでまいります。

まず「定住・移住の促進」としまして、平成28年度からスタートした若者・子育て世代向けの「田原市定住・移住促進奨励金」制度を継続するとともに、新たに加治石井戸住宅の宅地販売、空き家対策調査などに取り組み、定住・移住希望者の受入態勢を充実させてまいります。
さらに、田原市都市計画マスタープランに基づき、市街地拡大に関する可能性調査を行います。

次に、「交流人口の拡大策」としましては、スポーツ・文化合宿への市内宿泊費助成を継続するとともに、観光や地元産品の物販拠点の一つである道の駅「田原めっくんはうす」のリニューアルに着手します。

また、観光まちづくりの推進として、恋路ヶ浜駐車場の利便性向上や伊良湖岬地区の温泉開発可能性調査などに取り組みます。

サーフィンを切り口とした交流人口拡大、移住促進、地域活性化を目的とした「サーフタウン構想」につきましては、対象地域における意向調査や空き家・空き地調査を行うほか、(仮称)弥八島海浜公園の整備を継続して進めます。

そして、市全体の知名度やブランド力向上のため、引き続きシティセールスを推進いたします。特に、ふるさと大使を活用したPR活動や、ふるさと納税と連動したブランド認定品のPRに力を入れていきます。

次に、「雇用創出」につなげる産業振興としましては、第一に農業がございます。

昨年末、農林水産省が発表した「平成26年市町村別農業産出額」によりますと、田原市は「813億円」で日本一となっています。また、今年に入って、田原産のキャベツを使ったコロッケ「キャべコロ」が、農林水産大臣賞を受賞したという嬉しいニュースもありました。
引き続き、本市の強みである農業の基盤強化や成長につながるよう、意欲ある農業者の取組支援や販路拡大、6次産業化などを推進してまいります。
特に「花き振興」については、花の活用促進や普及啓発に取り組むほか、愛知県や東三河各自治体、関係団体等との連携により「あいち花フェスタ2017」を開催し、花の産地PRや需要拡大を図ってまいります。
また、新たな取組としまして、豊橋技術科学大学バイオリサーチセンターの人材育成事業へ参画し、農業人材の育成を支援します。

水産業につきましては、担い手育成支援の充実を図るほか、新たに漁村活性化総合対策事業に取り組んでまいります。
中小企業の活性化策としましては、新たに農商工連携マッチング事業として、田原ブランド認定品の販路拡大支援を行います。

工業の分野では、いよいよバイオマス発電数社の進出が具体化し、産業基盤の強化と雇用の促進に期待が高まっているところです。引き続き、トップセールスや個別企業訪問、誘致イベント等により、臨海工業地帯等への企業誘致に力を入れていきたいと考えています。

次に、「子育て支援」につきましては、子育てに奮闘する世代や未来を担う子どもたちを、総合的に応援してまいります。
まず、きめ細やかな母子保健の推進を図るため、これまで進めてきた初産妊婦の訪問を拡大し、全戸訪問に取り組むほか、育児不安に悩む母子へ手を差し伸べる宿泊型の産後ケア、産後健診を新たにスタートいたします。
保育環境の充実としましては、休日保育等を継続するほか、北部・山北保育園の統合や民間サービスへの転換に取り組みます。
また、障がい児等支援のため、こども発達相談室の開設日を拡充します。
 

学校教育の充実に向けては、東三河4市共同で校務支援システムを導入し、教員の事務負担軽減と児童・生徒と向き合う時間の確保を図るほか、スクールソーシャルワーカーの配置など、学びの環境向上を図ってまいります。
学校施設整備の面では、児童数の増加に伴い田原南部小学校校舎の増築を行うほか、伊良湖岬小学校新校舎の用地買収や設計を行います。
伊良湖岬中学校、泉中学校につきましては、保護者や地域の意見を伺いながら、それぞれ再編の準備を進めてまいります。

次に、「地域の魅力・住みよさの向上」につきまして、「生活の利便性向上」や「地域医療の充実」「魅力的な都市空間の創造」などに取り組んでまいります。

「生活の利便性向上」のためには、幹線道路の整備促進が最重要課題でございます。高速道路インターチェンジまで1時間以上という本市の弱点を克服するため、冒頭に触れた「渥美半島縦貫道路」のほか、「主要地方道豊橋渥美線」などの整備促進を、国・県へ積極的に要望してまいります。
また、通行時間短縮を図るための交通量調査のほか、道路メンテナンスのPFI可能性調査など、道路環境の向上を図っていきます。
そして、「地域医療の充実」のため、引き続き公的病院の支援を行うほか、医師確保や診療体制の確保に取り組みます。

「魅力的な都市空間の創造」のためには、市街地の活性化が欠かせません。田原市街地では、冒頭で触れたホテル誘致やまちなか広場の整備に官民協働で取り組んでまいります。
赤羽根市街地では、土地区画整理事業を支援し、住環境の向上と賑わいづくりに取り組みます。
福江市街地では、「福江地区まちづくりビジョン」に基づき、散策路やポケットパークの整備を行い、市民や来訪者が快適に過ごすことのできる都市空間を創出します。

市民協働モデル事業として、長期間をかけて整備を進めてきた「田原市谷ノ口公園」も供用を開始します。表浜エリアの新たな観光資源としても期待しているところです。

安心・安全の推進

二点目は、「安心・安全の推進」でございます。「防災対策」や「消防力の強化」「地域福祉の充実」などに取り組んでまいります。

まず、「防災対策」としましては、南海トラフ地震による津波対策として堀切地区の津波避難マウンドを完成させるほか、小中山地区でも整備に向けて取り組んでまいります。

「消防力の強化」としましては、地域で活躍する消防団に対し、機能性を高めた新しい活動服を貸与することで、団員の安全性と士気を高めるほか、車両や詰所車庫の更新などを順次進めてまいります。

「地域福祉の充実」としましては、東三河広域連合による平成30年度からの介護保険共同運用に向けて準備を進めるほか、団塊の世代が75歳以上となる超高齢化社会の到来、いわゆる2025年問題に対応できるよう、田原福祉専門学校において介護人材の育成を進めてまいります。

また、平成28年度に拡充した、低所得者の国民健康保険税の独自減免制度も継続するほか、障害者総合支援法に基づき、新たに地域活動支援センターを設置し、障害者等の地域生活支援の促進にも取り組んでまいります。

また、高齢者の交通安全推進のため、70歳以上の方を対象に、運転免許証自主返納支援を新たに実施いたします。

将来に向けた創意工夫

三点目は、「将来に向けた創意工夫」でございます。持続可能な地域づくりのためには、重点施策や新規施策への投資と、既存事業の見直しや財源確保のバランスをとる必要があります。そのため、「第3次田原市行政改革大綱」や「田原市公共施設適正化計画」の推進を図ってまいります。

まず、斎場の統合を進めてまいります。新年度におきましては、環境影響調査や地質調査・測量、造成設計など、新しい斎場建設に向けて取り組みます。

また、ごみ減量・資源化の推進も図ります。もやせるごみの処理量は年々増加しており、これまでも継続して減量化に取り組んでまいりましたが、さらなる減量化や費用負担の公平性を確保するため、平成30年2月から家庭ごみの有料化に踏み切ります。

その一方で、皆さんの利便性向上のため、ごみ収集日のお知らせ機能等を備えたスマートフォン向けのアプリを新たに導入します。

行政改革や公共施設適正化は、予算規模が縮小する将来に向けて、合併で重複している施設の適正化や受益者負担の再構築などによって、適正な行財政運営の維持と、サービスの向上や最適化を両立させるための取組でございます。どうか、ご理解とご協力をお願いいたします。

むすびに

15世紀末から江戸の幕末まで続いた「田原城」は、大きな天守閣を持たない城でありましたが、不利な地形や田原藩の限られた財政の中でも、時代に合った創意工夫で、城としての「格」や「機能」が保たれてまいりました。

また、渡辺崋山先生の「商人八訓」では、「十両の客より百文の客を大切にせよ」と、お金の大小で良し悪しを判断せず、小さな取引も大切にして、信頼関係を築き上げよと説いています。

今日の田原市政も同様で、大きな財政変動や減収の中にあっても、先人から脈々と受け継がれた創意工夫の精神で、時代に合った取組により、「安定」と「前進」を図るとともに、小さな「信頼」を大事に積み重ねていく必要があります。

改めて、元気な渥美半島、住み良い田原市に向かって、皆様と一緒に取り組んでまいりたいと考えております。

格別のご理解とご協力を申し上げ、平成29年度の施政方針とさせていただきます。

平成29年2月27日

田原市長 山下政良

施政方針 の全文は下記からダウンロードできます。

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