令和2年度施政方針(令和2年田原市議会第1回定例会)

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ページ番号1006859  更新日 2020年3月2日

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令和2年田原市議会第1回定例会

写真:令和2年田原市議会第1回定例会のようす

(令和2年3月2日)

渥美半島を元気に!!「新たな時代へと魅力を育む」予算編成

はじめに

田原市議会令和2年第1回定例会の開会にあたりまして、新年度における市政運営の基本方針と予算の大綱を申し上げ、議員各位をはじめ、市民の皆様方のご理解とご協力を賜りたいと存じます。

新型コロナウイルスに関して

まず始めに、昨年末、中国武漢から世界中に感染が広がっています新型コロナウイルス(COVID19)についてです。

ご承知のとおり、日本国内においても感染者が確認され、2月末現在で、クルーズ船を除き、感染者数は239人、亡くなられた方が5人となっております。

国では、新型コロナウイルス感染対策本部を立ち上げ、「感染拡大防止対策」、「正確な情報提供」、「医療提供体制の整備」等からなる基本方針を定めるとともに、先週、安倍首相から、全国の小中学校・高校などを臨時休校するように要請がありました。

本市としては、2月25日に「田原市新型コロナウイルス感染症対策本部」を立ち上げ、感染防止に取り組むとともに、国・県からの要請や情報提供を受け、本日から、市内の23の小中学校を、春休みまで休校としました。

そして、明日の中学校の卒業式につきましては、予防対策をしっかりとり、来賓と在校生は参加せず、卒業生とその保護者、教職員とで式そのものを簡略化し、実施することといたしました。

また、「田原市新型コロナウイルス感染症を踏まえたイベント等開催における基本方針」を策定し、イベントや会議などの開催について、一定基準を設け、中止や延期等の措置を講ずるなど、感染拡大の防止に努めています。

一方、各家庭へは、手洗い・うがいの励行や、もしもの時の対処方法をまとめたチラシを回覧するとともに、ホームページや防災無線、ほっとメールなどにより、予防対策をしっかりと啓発しているところです。

本市を取り巻く経済・社会動向

さて、わが国の経済は、政府の経済見通しによりますと、雇用・所得環境の改善が続き、経済の好循環が進展する中で、内需を中心とした景気回復が見込まれています。

昨年10月には、消費税率の引き上げが実施されましたが、経済の回復基調に影響を及ぼさないよう、軽減税率制度などの対応策が実施されています。

また、国は、消費税率引き上げ後の経済動向を引き続き注視するとともに、台風等の被害からの復興の取組をさらに加速するため、総合経済対策を着実に実施することとしています。

一方、新型コロナウイルスの感染拡大により、中国をはじめとする世界経済の悪化が進みつつあるとともに、国内経済へもその影響が広がりをみせており、先行きが不透明な状況となっています。

こうした中、本市の財政状況は、法人市民税率の引き下げや、合併算定替の縮減による地方交付税の減少などにより、大変厳しい状況にあります。

予算規模が縮小する中で、多様化する市民ニーズに応え、持続的に発展していくためには、これまでの事業やサービスを見直し、限られた財源を効果的に活用していくことが必要です。

さて、7月には「東京オリンピック・パラリンピック競技大会」の開催が予定されています。

開催に向けて、日本中が盛り上がりを見せていくことと思いますが、本市にゆかりのある選手の活躍についても、大いに期待したいところです。

こうした国を挙げてのスポーツの祭典を契機に、本市としてもスポーツを切り口に、交流人口の拡大や地域振興をより一層、力強く推進してまいりたいと考えております。

昨年の振り返り

昨年を振り返りますと、4月に三河田原駅前に親子交流館「すくっと」を開設し、育児相談や多様な世代の交流、雨の日の遊び場として、多くの皆さまにご利用いただいております。

駅前には、民間ホテルも開業いたしましたので、さらなる市街地活性化につながっていくことを期待しています。

教育面では、この1年間で全ての小中学校、保育園へのエアコン設置とトイレの洋式化を行いました。子どもたちの健康を守り、学習環境の充実を図ることができ、大変嬉しく思っています。

また、昨年は本市において家畜伝染病「豚熱(ぶたねつ)」の感染が確認され、畜産農家の皆さんが非常に大きな被害を受けました。

全国的にも、いまだに広範囲で野生イノシシへの感染が確認され、終息のきざしが見えていない状況です。

これまで本市では、国や愛知県と連携し、防疫力の向上や風評被害についての対策を講じてきたところです。今後も、ワクチン接種の費用助成など、農家の皆さんの再建に向けて負担軽減に取り組んでまいります。

予算の大綱

予算編成の重点施策

それでは、これらを踏まえ、令和2年度予算の大綱についてご説明いたします。

先に触れたとおり、わが国の景気は緩やかな回復基調にあるものの、本市においては減収要因が多く、厳しい財政状況が続くものと考えております。

こうした中でも、この地域の強みを活かした魅力あるまちづくりを推進するとともに、市民の皆さまや事業者、団体とのつながりを深め、安心安全で快適な暮らしの基盤づくりに努めてまいります。

令和2年度の予算編成における重点施策としては、「住んでみたい・訪ねてみたいまちづくり」、「住み続けたいまちづくり」、そして「未来につながるまちづくり」の3つの柱を掲げ、元気な渥美半島の実現に向けて取り組んでまいります。

予算の概要

それでは、予算規模について申し上げます。

令和2年度の一般会計予算額は、前年度に比べ、「5億1千万円」の減少となる「292億1千万円」となっております。

特別会計と企業会計の合計「153億4千万円」を含めますと、全体では、「445億5千万円」となり、前年度と比較し「18億7千万円」増加しています。

これは、公共下水道事業及び農業集落排水事業について、特別会計から企業会計に移行するため、現金収支を伴わない建物や設備などの減価償却費が新たに計上されるためであり、実際の事業規模は前年度とほぼ同水準となっています。

歳入の状況については、市税収入は「133億7千万円」で、前年度と比較し「21億円」の大幅な減少を見込んでおります。これは、昨年10月に実施されました法人市民税率の引き下げの影響などが要因となっています。

また、合併算定替の縮減等により、地方交付税は「3億8千万円」と、「2億円」の減少を見込んでいます。

不足財源につきましては、基金からの繰り入れや市債の活用により対応するほか、ふるさと納税などによる寄付収入の充実などにより、安定的な財政運営に努めてまいります。

次に、歳出の状況ですが、全体としては必要なサービスを維持しつつも、運営の体制や内容を見直し、財政規模の縮小に併せてスリム化を図るとともに、未来へつながる投資はしっかり進めてまいります。

性質別では、「義務的経費」については「約128億円」となり、若干増加しています。そのうち、扶助費、公債費は前年度と同水準ですが、人件費については「約6億円」の増加となっています。これは、令和2年度から始まる「会計年度任用職員制度」に伴う集計区分の変更によるもので、実質的な人件費としましては若干の減少となっています。

物件費や維持補修費などの「その他経費」については、全体的には「約113億円」と、前年度並みの予算を確保しております。

それらを踏まえ、普通建設事業などの「投資的経費」については、当初予算に計上した約51億円のほか、繰越事業分を含めると合計約59億円を確保し、市民サービスの維持、また、将来に向けた投資をしっかりと行ってまいります。

令和2年度の重点施策

引き続きまして、3つの重点施策について、それぞれご説明いたします。

住んでみたい・訪ねてみたいまちづくり

1点目の「住んでみたい・訪ねてみたいまちづくり」では、まず、「地域の特色を生かした産業振興」として、農業や商工業などの地域産業のより一層の活性化を図るため、基盤強化や新たな市場の開拓、雇用の確保に取り組んでまいります。

地域産業が活力にあふれ、働く場所があってこそ、人が集い、賑わいが生まれます。「田原で働きたい」と思っていただけるまちづくりを目指してまいります。

日本一の産出額を誇る農業分野では、「和地太田地区をはじめとする農業基盤の整備」や、国際的な競争力向上を図るための「産地パワーアップ事業」を継続して実施するとともに、「農家への就農希望者の受け入れ」や「農地再生のための支援制度」などにより、新たな担い手の育成や耕作放棄地の解消に努めます。

また、首都圏やマレーシアなど海外への農産物の販路拡大を支援するとともに、日本一の花きの産地として、さまざまなPRを行ってまいります。

水産業においても、「あさり稚貝の放流・採取」への支援や漁港保全施設の長寿命化などについて、引き続き進めてまいります。

商工業では、「田原公共埠頭のマイナス10メートル耐震強化岸壁」を早期実現し、さらなる企業誘致に努めるとともに、「渥美半島たはらブランド」を全国に発信し、特産品を通した販路拡大や戦略的なシティセールスに取り組んでまいります。

また、中小企業向けの総合窓口を設置し、創業を支援するとともに、中高生を対象にした「たはら企業フェア」を開催するなど、市内企業と田原市の魅力を市内外に発信します。

次に、「定住・交流人口の拡大」としましては、地域の活力を維持するため、若い世代の定住・移住の促進や交流人口の拡大を図ります。

特に観光面では、多様な資源を活かすことにより本市の魅力を高め、人を呼び込む流れを強めてまいります。

まず、本市への定住・移住を推進するため、「定住・移住促進奨励金制度」の継続や、「空き家活用のための補助制度」の拡充により、若い世代の住宅取得を支援してまいります。

「田原市サーフタウン構想」では、「弥八島海浜公園」の宿泊施設を含めた活用について事業化に向けた取組を進めるほか、宅地開発の可能性についても検討してまいります。

市街地につきましては、まず「赤羽根市街地」では、令和2年度中の宅地販売を予定している組合施行の土地区画整理事業を引き続き支援してまいります。

また、「福江市街地」では、地域や商業者と協働で、賑わいを創り出すための検討を進めてまいります。

「交流人口の拡大」の取組といたしましては、いよいよ伊良湖地区での温泉掘削工事が始まりました。これからの温泉資源を活用した地域の盛り上がりを想像しますと、大きく夢が広がってまいります。

今後は、「恋人の聖地」と連携したプロモーションを強化し、さらに観光地としての魅力向上に努めてまいります。

また、本市には渥美半島を楽しむことができる風光明媚な「太平洋岸自転車道」がありますので、これを起爆剤として「サイクルツーリズム」にも力を入れてまいります。愛知県や関係自治体と統一感をもった整備に取り組み、国の「ナショナルサイクルルート」への早期指定を目指してまいります。

国から「重点道の駅」として選定された市内の3つの「道の駅」につきましては、受入環境や情報発信の拠点としての機能を強化し、国内外からサイクリストをはじめ多くの方々に訪れていただきたいと考えています。

来年2月には「日本風景街道大学 田原キャンパス」を開催します。菜の花が咲き誇る「渥美半島菜の花浪漫街道」について、道路沿線の景観を活かした地域づくりの取組をさらに進めてまいります。

この渥美半島には、他にはない強みとして、豊かな自然や半島という地理的特性があり、これらを活かした施策が非常に重要であると考えております。

そのため、サーフィンやサイクリングなどを活用した「スポーツツーリズム」に一層の重点を置き、さらに「温泉」や「渥美半島どんぶり街道」、「たはら巡りーな」など、さまざまな体験と組み合わせることで、新たな観光ブランドを構築してまいります。

住み続けたいまちづくり

続いて、大きな2点目の「住み続けたいまちづくり」については、誰もが安心して住み続けられる、住んで楽しいまちを目指し、福祉・医療、教育環境の充実に取り組むとともに、未来を担う子どもを安心して産み、健やかに育てられる環境づくりについて特に推進してまいります。

昨年から運営を始めた親子交流館「すくっと」では、総合相談窓口や各種講座、「妊産婦訪問」などを充実させてまいります。

また、新たに「新生児聴覚検査」についての費用助成を実施するなど、妊娠期から切れ目のない支援を行ってまいります。

保育につきましては、土曜日集合保育や休日保育による「365日保育」を継続するとともに、この春には、北部保育園と山北保育園を統合・民営化した「童浦こども園」が開園します。また、3園を統合・民営化する「(仮称)あかばねこども園」についても、令和4年の開園を目指して取り組んでまいります。

病気の回復期にある子どもの保育を行うため、新たに4月から「おひさま病後児保育室」を開設し、子育てと就労等の両立を支援してまいります。

また、令和3年度の「児童発達支援センター」開設のための準備として、「あおぞら園」の改修工事を行い、障害児支援の充実を図ってまいります。

「福祉・医療」につきましては、地域の拠点病院である渥美病院の運営を引き続き支援するとともに、「赤羽根診療所」についても安定的な運営を図ることで、誰もが安心して暮らすための医療基盤を維持してまいります。

また、4月から、18歳までの入院費の無料化を開始し、子ども医療費の助成対象を拡大することで、適切な医療の確保と負担軽減を図ります。

さらに、今年度養成した「健幸(けんこう)アンバサダー」による活動や、「たはら健康マイレージ」の充実、各種検診や予防接種に対する助成など、市民の健康増進のために取り組んでまいります。

「教育環境の充実」につきましては、「伊良湖岬小学校」について、令和3年9月からの利用開始を目指し、引き続き整備を進めてまいります。

また、令和3年4月の泉中学校との統合に向け、赤羽根中学校の改修に着手するほか、その他の学校についても計画的に改修を行い、教育環境の向上や児童・生徒の安全確保に努めます。

学校プールについては、インストラクターによる水泳授業や民間プールなどを利用した合同授業などの実証を行い、今後のあり方について検討してまいります。

さらに、国が進める「GIGAスクール構想」の実現のため、小中学校の校内LAN整備を進めてまいります。ICTを活用した英語教育や遠隔授業システムなど、新たな技術を導入した授業を実施することで、質の高い教育を提供してまいります。

長時間通学が大きな負担となっていました「特別支援学校」については、これまで愛知県に対して市内への設置を強く要望してまいりました。

それが実を結び、この4月から豊橋特別支援学校高等部の分教室「潮風教室」が、福江高等学校を利用して設置されることとなりました。

福江高等学校と特別支援学校との連携による相乗効果も期待できますので、今後は共生社会の実現に向けてしっかりと後押ししてまいります。

市民生活に欠かせない「安心・安全で快適なまちづくり」につきましては、生活の利便性や経済性の向上だけでなく、市民の安全確保のためにも道路の整備が最も重要です。

全国有数の農業や工業を支えるためには、高速道路のインターチェンジまで1時間以上という、本市の弱点を克服しなければなりません。

先ほどの温泉や道の駅など、点在する観光資源を結び、渥美半島の先端までの大幅な時間短縮を図るため、新たな道路「(仮称)渥美半島道路」の実現に向けて、引き続き国や愛知県に対して積極的に働きかけてまいります。

そのほか、市街地の活性化を進めるとともに、道路・河川施設の充実、上下水道施設・公共交通機関の適切な維持管理など、都市機能として欠かすことのできない公共インフラを強化し、住みやすく魅力的な都市づくりを進めます。

防災面では、津波からの避難対策として、小中山地区に4か所の「津波避難施設」の整備に着手してまいります。

また、消防団活動などの「非常備消防力」を強化するほか、地域防災の要となる自主防災組織の活動を支援し、災害に強い地域づくりを進めます。

さらに、大きな社会問題となっている高齢ドライバーによる交通事故については、これまでの「運転免許証自主返納への支援」に加え、ペダルの踏み間違い事故を防止する「安全運転支援装置」に対する補助を新たに始め、高齢者の安全運転を支援してまいります。

未来につながるまちづくり

最後に、3点目の「未来につながるまちづくり」につきましては、行政サービスの質を高めるとともに、行財政運営の効率化を図ることにより、将来の持続的な発展に向けて取り組んでまいります。

田原斎場と渥美斎場を統合する「新斎場の整備」につきましては、令和3年4月の供用開始を目指し、引き続き建設工事を進めてまいります。

また、老朽化した「し尿処理施設」についても、赤羽根浄化センターに受入施設を整備し、令和3年度に受入れができるよう、整備を進めてまいります。

本市は、2度の合併により多くの公共施設を保有しており、現状のまま施設を維持し続けることは財政的にも困難です。

そのため、「第4次田原市行政改革大綱」や「田原市公共施設等総合管理計画」に基づき、施設の管理運営やサービス体制の見直しを推進するとともに、新たな財源確保に向けて一丸となって創意工夫を図ってまいります。

終わりに

以上が、新年度予算の大綱と重点施策でございます。

本市は、昨年の東洋経済新報社の「住みよさランキング2019」において、愛知県内で第1位となりました。また、直近の市民意識調査においても、8割以上の方に住みやすいと回答いただいています。

これらは、市民の皆さまと一体となってまちづくりに取り組んできた成果であり、今後の田原市のかけがえのない財産になるものと思います。

これまでに種をまいてきた取組が、徐々に芽を出しつつあります。これらの芽が、将来に向けて根付き、さらに花開くよう、“新たな時代へと魅力を育む” 予算として編成いたしました。

子どもからお年寄りまで、市民の皆さまが将来にわたり安心・安全に暮らすことができ、そして、誰もが誇りと愛着を持ち、住みやすさを実感できる、そのような魅力あるまちづくりを思い描き、引き続きさまざまな課題に全力で取り組んでまいります。

終わりに、議員各位をはじめ、市民の皆さまの格別のご理解とご協力をお願い申し上げ、令和2年度の施政方針とさせていただきます。ありがとうございました。

令和2年3月2日

田原市長 山下政良

施政方針 の全文は下記からダウンロードできます。

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