令和3年度施政方針(令和3年田原市議会第1回定例会)

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ページ番号1007715  更新日 2021年3月2日

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「逆境を乗り越え、未来につなぐ」予算編成

はじめに

田原市議会 令和3年第1回定例会の開会にあたりまして、新年度における市政運営の基本方針と予算の大綱を申し上げ、議員各位をはじめ、市民の皆様方のご理解とご協力を賜りたいと存じます。

新型コロナウイルス感染症について

新型コロナウイルス感染症が世界中で猛威をふるい、いまだ終息のきざしが見えない中、市民の皆さんには、日中を含む外出自粛や感染予防対策の徹底などにご協力いただき、心から感謝を申し上げます。

本市では、安全で有効なワクチンをいち早く接種できるよう、2月1日付けで副市長を会長とする「ワクチン接種推進部会」を設置し、健康課内にプロジェクトチームを結成するなど、全庁的な推進体制を強化いたしました。

今後は、国や愛知県、医療機関などと連携しながら、刻々と変化する事態に迅速に対応し、市民の皆さんの命と生活を守るため、全力で取り組んでまいります。

本市を取り巻く経済・社会動向

さて、政府の経済見通しによりますと、わが国の経済は新型コロナウイルス感染症の影響により依然として厳しい状況にあります。しかし、緊急経済対策や補正予算の効果も相まって、持ち直しの動きも見られています。ただ、いまだ回復の途上にあり、経済水準はコロナ前を下回った状態にとどまっています。

国においては、今回の感染症対策で明らかになった行政サービス等におけるさまざまな課題に対処すべく、デジタル社会やグリーン社会の実現、活力ある地域づくりに対応することとしています。

本市においても、これらの国の動きをしっかりと捉え、AIなどのデジタル技術の活用や、環境負荷の少ない地域循環型社会の実現を目指した施策に取り組む必要があります。

新型コロナウイルス感染症の影響により予算規模が縮小する中においても、今後の持続的な発展に向け、限られた財源を効果的に活用してまいります。

昨年の振り返り

昨年を振り返りますと、新型コロナウイルス感染症に対応するため、国や愛知県の取組に加え、本市の独自施策として「たはら暮らし応援商品券」の交付やプレミアム付き商品券の発行支援、農業経営の維持・安定に向けた支援など、あらゆる分野において生活支援や経済対策を実施してまいりました。

一方、子育ての分野におきましては、本市初の統合・民営化によるこども園、「童浦こども園」が4月に開園いたしました。

また、病気回復期の子どもを保育する「おひさま病後児保育室」の開設などにより、保護者のみなさんが、子育てをしながら安心して就労できる環境を整えてまいりました。

11月には、伊良湖町で進めておりました温泉掘削工事が実を結び、ついに念願の温泉が湧出いたしました。今後は、この温泉について新たな観光資源としての活用を目指してまいります。

予算編成の重点施策

それでは、令和3年度予算の大綱についてご説明いたします。

令和3年度は、法人市民税率の引き下げや新型コロナウイルス感染症の影響による大幅な減収が見込まれ、厳しい財政状況が続くものと考えております。

こうした中でも、本市の強みを活かした魅力あるまちづくりを推進するとともに、市民の皆さまや事業者、団体とのつながりを深め、安心・安全で快適な暮らしの基盤づくりに努めてまいります。

令和3年度の予算編成における重点施策としては、国が推進する国土強靭化やデジタル化、グリーン社会の実現を踏まえ、「住んでみたい・訪ねてみたいまちづくり」、「住み続けたいまちづくり」、そして「未来につながるまちづくり」の3つの柱を掲げ、元気な渥美半島の実現に向けて取り組んでまいります。

(1)予算の概要

それでは、予算の概要について申し上げます。

令和3年度の一般会計予算額は、前年度に比べ、「15億8千万円」の減少となる「276億3千万円」となっております。

特別会計と企業会計の合計「146億円」を含めますと、全体では、「422億3千万円」となり、前年度と比較し「23億2千万円」減少しています。

歳入の状況については、市税収入は「114億1千万円」で、前年度と比較し「19億6千万円」の減少を見込んでおります。これは、法人市民税率引き下げの影響や新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う企業業績の減退による大幅な減収が見込まれることが要因となっています。

歳入確保に向け、ふるさと納税などによる寄付収入を充実させるとともに、国や県の補助金の確保に努めます。不足する財源につきましては、基金からの繰り入れや臨時財政対策債など有利な市債の活用により対応し、安定的な財政運営に努めてまいります。

次に、歳出の状況ですが、全体としては必要なサービスを維持しつつも、運営の体制や内容を見直し、財政規模の縮小に併せてスリム化を図るとともに、未来へつながる投資はしっかり進めてまいります。

性質別では、「義務的経費」については「131億2千万円」となり、「2億4千万円」増加しています。そのうち、人件費については「1億3千万円」の増加となっていますが、これは地域における介護人材育成の充実に向け、田原福祉専門学校を民営化したため、特別会計で予算化していた人件費が一般会計に合算されたことなどによるものです。

物件費や維持補修費などの「その他経費」については、全体的には「114億7千万円」と、前年度並みの予算を確保しております。

また、普通建設事業などの「投資的経費」については、当初予算に計上した30億4千万円に、繰越事業分を加え合計37億1千万円を確保し、市民サービスの維持、また、将来に向けた投資をしっかりと行ってまいります。

(2)令和3年度の重点施策

引き続きまして、3つの重点施策について、それぞれご説明いたします。

住んでみたい・訪ねてみたいまちづくり

1点目の「住んでみたい・訪ねてみたいまちづくり」では、まず、「地域の特色を生かした産業振興」として、地域経済への新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえつつ、農業や水産業、商工業など地域産業の活力確保に取り組み、地域の持続的な好循環につなげてまいります。

日本一の産出額を誇る農業分野では、生産性向上のための基盤整備などにより競争力強化を図るとともに、新たな担い手の育成や耕作放棄地の解消に努めます。

また、首都圏でのプロモーション活動や、マレーシアなど海外への新たな販路開拓については、感染症の状況を確認しながら実施してまいります。

花きについては、全国有数の産地として「日本一 花を贈るまち」を目指し、結婚をお祝いする「アニバーサリーフラワーギフト」を継続してまいります。

また、花のある暮らしに向けたきっかけとして、新たに定住・移住者に花束をプレゼントするなど、需要の拡大を図ってまいります。

水産業においては、国や愛知県と連携した支援を行うことにより漁業環境の改善を図るとともに、資源維持の取組について適切に対応することで「守り育てる漁業」を推進してまいります。

商工業では、三河港振興のための「田原公共埠頭のマイナス10メートル耐震強化岸壁」の早期実現を目指すとともに、臨海部において一部事業化を決定した企業を含め、「バイオマス発電事業」の立地を引き続き支援してまいります。

また、商業団体のプレミアム付き商品券の発行を支援し、市内の消費喚起につなげるとともに、「渥美半島たはらブランド・プレミアム」など地域ブランド商品の開発に取り組み、特産品を通したシティセールスを推進してまいります。

次に、「定住・移住、関係・交流人口の拡大」といたしましては、地域の活力維持に向け、コロナ後の地方暮らし見直しの動きも見据え、関連する各種施策を実施してまいります。

まず、若い世代の定住・移住を促進するため、「奨励金制度」や「たはら暮らし定住・移住サポーター制度」を継続し、本市への人の流れを促進してまいります。

また、将来の担い手確保に向け、中高生を対象にした「たはら企業フェア」を開催し、市内企業の魅力を発信してまいります。

全国屈指のサーフスポットであるという本市の魅力を最大限に活かした「田原市サーフタウン構想」では、「弥八島海浜公園」の宿泊施設を含めた開発について事業者の取り組みを後押しするほか、宅地開発についても事業化に向けた調査を行ってまいります。

そのほか、「赤羽根市街地」では組合施行の土地区画整理事業を引き続き支援するとともに、「福江市街地」では整備事業計画の策定を支援し、賑わいづくりを図ってまいります。

「関係・交流人口の拡大」の取組としましては、伊良湖地区の温泉資源について、令和4年の利用開始を目指し、温泉管理施設を整備してまいります。

今後は、観光事業者などと活用方法について検討を進め、温泉を核とした戦略的な観光プロモーションを行ってまいります。

また、本市を通る太平洋岸自転車道の「ナショナルサイクルルート」指定を目指し、走行環境の向上やサイクリスト受入環境の整備を進めるとともに、「菜の花浪漫街道」と併せ、観光やスポーツの振興を図ります。

本市におきましては、新型コロナウイルス感染症によって、特に観光業や飲食業が大きな打撃を受けております。

そのため、「サーフィン」や「サイクリング」をはじめとするスポーツと、「温泉」や「渥美半島どんぶり街道」などの体験を結びつけた「スポーツツーリズム」が、コロナ後の観光客回復に向けた起爆剤となるよう、魅力の向上に努めてまいります。

住み続けたいまちづくり

続いて、大きな2点目の「住み続けたいまちづくり」については、誰もが安心して住み続けられるまちを目指し、子育て・福祉、教育環境の充実や快適なまちづくりに取り組んでまいります。

まず、結婚を希望する方が希望する年齢で結婚をかなえられるよう、新居に係る費用を補助する制度を新たに創設し、経済面での負担軽減に取り組んでまいります。

また、妊産婦健診や産後ケアの拡充など、妊娠期からのきめ細やかなサービスを提供し、母子が安心して子育てができるよう、環境整備を進めてまいります。

保育につきましては、土曜日集合保育や休日保育による「365日保育」を継続するとともに、3つの園を統合・民営化する「(仮称)あかばねこども園」についても、令和4年の開園を見据え、引き続き支援を行ってまいります。

また、この4月から「児童発達支援センターあおぞら園」を開設し、市内において専門的な療育、心配ごとや悩みごとの相談を受けることができる体制を整備し、児童の発達支援を充実させてまいります。

「医療・福祉」につきましては、まずは新型コロナウイルス感染症のワクチン接種について、できるだけ早く実施できるよう、万全な準備を進めてまいります。

地域の拠点病院である渥美病院につきましては、施設運営や医療従事者の確保など安定的な運営に向けた支援を行うとともに、マイナンバーに対応した電子カルテなど高度医療機器の整備を支援し、市民の皆さんが安心して暮らせるよう、医療機能の充実を図ってまいります。

また、田原福祉専門学校の民営化により、この4月から「田原福祉グローバル専門学校」が行う介護人材の養成について、官民一体となって進めてまいります。
これまでの歴史と校風に、新たな価値を加え、魅力あふれる学校として、超高齢社会を支える介護人材の育成を期待しています。

「教育環境の充実」につきましては、この4月には泉中学校と統合した新たな赤羽根中学校がスタートいたします。生徒が安全に通学できるよう、スクールバスの運行やバス停の整備を行うとともに、お互いの生徒がスムーズに溶け込めるような学校づくりを進めてまいります。

また、これまで整備を進めてまいりました「伊良湖岬小学校」につきましても、本体工事がまもなく完了いたします。本年9月からの利用開始を目指し、周辺道路や備品の整備等を行ってまいります。

その他の学校についても、長寿命化など計画的な改修を行い、教育環境の向上や児童・生徒の安全確保に努めてまいります。

学校プールのあり方につきましては、より一層の水泳授業の充実と安全確保、施設の集約化に向け、実証事業として市内の民間プールなどを活用した水泳授業を実施してまいります。

また、国が推進する「ギガスクール構想」の実現に向け、新たにICT支援員を配置し、一人1台のタブレット端末を活用することで、個々の状況に応じた個別学習を進めます。

さらに、学校間やゲストティーチャーをつなぐ遠隔授業を活用し、地域差のない学習環境を実現するなど、新たな社会に向け、子どもの個性に合った創造性をはぐくむ教育を目指してまいります。

「安心・安全で快適なまちづくり」では、本市においては南海トラフ地震による地震・津波災害をはじめ、大規模な自然災害の発生による被害が危惧されています。

そのため、国が推進する国土強靭化計画と連携した施策を充実させることで、市民生活に欠かすことのできない公共インフラを強化し、災害に強い地域づくりを進めてまいります。

また、防災面では、津波災害警戒区域内の市民を対象に、ライフジャケットの有償配布を新たに行うとともに、小中山地区における「津波避難施設」の整備を進め、防災力の向上に努めてまいります。

さらに、消防施設や車両の整備、感染症資材の拡充などにより、消防・救急体制の充実を図るほか、地域防災の要となる消防団や自主防災組織の活動環境を整備してまいります。

そのほか、幹線道路や生活道路、河川・港湾施設、上下水道施設の充実、公共交通機関の適切な維持など、住みやすく魅力的な都市づくりを進めます。

田原市が、今後さらなる発展を遂げるためには道路整備が不可欠です。

まもなく、「浜松三ケ日豊橋道路(仮称)」が、東名高速道路の三ケ日ジャンクションから、国道23号・名豊道路を突き抜け、明海の工業団地付近まで延伸されるルート帯が決定する予定です。

この時を逃すことのないよう、渥美半島の先端までの信号のない「(仮称)渥美半島道路」の実現に向け、引き続き国や愛知県に対して積極的に働きかけてまいります。

未来につながるまちづくり

最後に、3点目の「未来につながるまちづくり」につきましては、持続可能な開発目標であるSDGs(エスディージーズ)の視点を取り入れ、市民サービスの充実や行財政基盤の強化などに取り組み、将来の持続可能な社会の実現を目指してまいります。

まず、デジタル化につきましては、国において「デジタル庁」が新設される予定であり、今後は省庁や自治体の垣根を超えた横断的な改革が進められる予定です。

本市においても、マイナンバーカードの普及をはじめ、「住民票などのコンビニ交付サービス」や「AI総合案内サービス」の導入など、行政のデジタル化を推進してまいりました。

令和3年度も、「電子マネー決済」の導入などをはじめ、市民や事業者をも含めた地域社会全体の活性化を推進するため、「田原市DX推進本部」を中心に、全庁的に取り組んでまいります。

また、本市は、環境と共生する豊かで持続する地域づくりを基本理念とする「たはらエコ・ガーデンシティ構想」を推進し、これまで地球温暖化防止に取り組んできました。

このような中、国において「2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」ことが宣言されたことにより、本市においても二酸化炭素排出量を実質ゼロにする「たはらゼロカーボンシティ」を目指すことを表明いたしました。

今後も、再生可能エネルギーの有効活用や省エネルギーの推進など、市民や事業者と一体となり、脱炭素社会の推進による持続可能な地域づくりに取り組んでまいります。

公共施設適正化につきましては、本年4月から新たな斎場を供用開始いたします。令和3年度は、この新斎場をしっかりと運営するとともに、旧田原斎場の解体工事や駐車場の整備を行ってまいります。

また、老朽化した「し尿処理施設」につきましては、令和4年1月からの受入れ開始を目指し、赤羽根浄化センターでの施設整備を引き続き進めてまいります。

終わりに

以上が、新年度予算の大綱と重点施策でございます。

全国的な流れではありますが、本市においても人口減少・少子高齢化による労働力不足や地域経済の縮小など、多くの課題に直面する中、新型コロナウイルス感染症により人々の命や暮らしがおびやかされ、経済活動や社会生活に対して甚大な影響が及んでいます。

先行きが不透明な状況の中、人々の価値観や行動様式が大きく変わり、今まさに時代の転換期を迎えています。

しかし、これら一見マイナスに捉えられる状況も、本市にとってプラスの要素へと変化させる可能性は十分にあると考えています。

コロナ対策によりテレワークが普及したことをきっかけに、東京圏への一極集中の是正や地方分散型社会への転換に向け、地方移住の動きが加速しつつあります。

また、働き方の変化により、観光地で余暇を楽しみながら働く「ワーケーション」など、地方での豊かなライフスタイルに対する注目が高まってきています。

これまでに誰も経験したことのない世の中が到来した今こそ、危機を乗り越えていくための知恵を絞っていかなければなりません。

田原市には、海や山など渥美半島ならではの雄大な自然や、豊川用水の恩恵による農業や工業など全国有数の地域産業があります。

これらの「強み」を最大限に活かし、元気な渥美半島、住み良い田原市につなげるため、「逆境を乗り越え、未来につなぐ予算」として、令和3年度予算を編成いたしました。

議員各位をはじめ、市民の皆さまの格別のご理解とご協力をお願い申し上げ、令和3年度の施政方針とさせていただきます。ありがとうございました。

令和3年3月2日

田原市長 山下政良

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