令和5年度施政方針(令和5年田原市議会第1回定例会)

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ページ番号1010048  更新日 2023年3月1日

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渥美半島を元気に!!「未来に向けて、夢と魅力をはぐくむ」予算

はじめに

田原市議会 令和5年第1回定例会の開会にあたりまして、新年度における市政運営の基本方針と予算の大綱を申し上げ、議員各位をはじめ、市民の皆さま方のご理解とご協力を賜りたいと存じます。

私は、平成27年4月に市長に就任して以来、「生まれ育ったこの渥美半島を元気にしたい」との熱い思いを胸に、ひとつひとつ着実に市政運営に取り組んでまいりました。
早いもので、私の2期目の任期も、残すところ2カ月足らずとなりました。
この8年間、私が積極的にさまざまな施策を進めてこられたのも、市民の皆さんや議員各位の市政に対する深いご理解とご協力の賜物であると厚く感謝申し上げます。

この間、人口減少・少子高齢化の進行に加え、豚熱の発生、新型コロナウイルス感染症の蔓延など新たな課題が生じるなか、津波避難施設の整備による防災対策、農業や漁業、工業などの地域産業の活性化、「365日保育」による子育て支援、赤羽根診療所の開設による地域医療の充実、三河田原駅の周辺整備など、将来へとつながる取組について、着実に前に進むことができたと思っています。

まだまだ取り組むべき課題が多くありますが、令和5年度も「田原市に住んでみたい」、「田原市に住んで良かった」と思っていただけるよう、さらに元気な渥美半島を目指してまいります。

振り返り

昨年から今年にかけて振り返りますと、本市の基幹産業である観光分野において、将来を見据えた重要な取組がございました。

まず始めに、これまで長年の念願だった温泉の掘削に成功し、昨年4月から新たな温泉地「伊良湖温泉」としてデビューいたしました。
この「伊良湖温泉」は、市内宿泊施設や温泉自動販売機においてご利用いただいておりますが、今後も地域全体を盛り上げる起爆剤として、渥美半島のあらゆる資源と組み合わせ、ウェルネス・ツーリズムとして売り出してまいります。

次に、「伊良湖クリスタルポルト」の取得でございます。
これは、港湾機能の維持や鳥羽伊良湖航路の存続など、海の玄関口としての機能回復のために決断をいたしました。
現在、「伊良湖クリスタルポルト」は一時休館し、リニューアル工事を実施しておりますが、この6月にはオープンする予定となっています。
また、休業中のホテル「伊良湖シ―パークアンドスパ」についても、営業再開に向けて働きかけを行った結果、この春から再開していただけることとなりました。
これらの施設を起点として、本市の重要な観光拠点である伊良湖地域のにぎわいを創出してまいります。

そして、「アイアンマン70.3東三河ジャパンin渥美半島」の開催決定です。
この大会は、世界で数多く開催される国際的なトライアスロンシリーズで、フルの半分にあたる合計113.1キロ、70.3マイルをスイム・バイク・ランの3種目で競うもので、この6月に渥美半島一帯で開催されることとなりました。
「トライアスロン伊良湖大会」や「オフロードトライアスロン」、「ワールドサーフィンゲームス」をはじめとするスポーツ大会による地域活性化を推進してきた本市にとって、この大会開催の意義は非常に大きく、これを契機に渥美半島が持つ魅力を世界に発信してまいります。

これらの取組により、この地域の魅力をさらに向上させ、国内外の観光客をはじめとする交流人口の拡大はもとより、市民の皆さんが誇りを持てるような活力あるまちづくりにつなげてまいります。

社会・経済動向と今後の展望

さて、社会動向では、新型コロナウイルス感染症の感染拡大から約3年が経ちました。
これまで、市民の皆さんの命と生活を守るという強い決意のもと、医療関係者などのご協力をいただきながら、感染拡大を防ぐために全力で取り組んでまいりました。
本市の感染状況を見ますと、いまだ油断できない状況ではありますが、国はこの5月から「新型コロナ」を「5類感染症」へ移行することを決定しました。
これに伴い、医療体制や公費支援などの変更が予想されますが、国や愛知県、医療機関などと連携しながら、市民の皆さんが安心・安全な日常生活を取り戻していけるよう、しっかりと取り組んでまいります。

経済動向では、コロナ禍からの社会経済活動の正常化が進みつつある中、緩やかな持ち直しが続いている一方、世界的なエネルギー・食糧価格の高騰による景気後退の懸念など、取り巻く環境には厳しさが増しています。
国においては、総合経済対策により物価高を克服しつつ、「新しい資本主義」の旗印の下、社会課題の解決に向けた取組を成長のエンジンへと転換し、民需主導で持続可能な成長経路に乗せていくこととしています。

このような認識の下、デジタルトランスフォーメーションやグリーントランスフォーメーション、スタートアップなどの重点分野について、官民連携で大胆な投資を推進することとしており、本市においてもこれらの動きをしっかりと捉え、未来を見据えた取組を進めてまいります。

予算編成の重点施策

それでは、令和5年度予算の大綱について、ご説明いたします。

予算編成における重点施策として、「住んでみたい・訪ねてみたいまちづくり」、「住み続けたいまちづくり」、そして「未来につながるまちづくり」の3つの柱を掲げ、元気な渥美半島の実現に向けて取り組んでまいります。

(1)予算の概要

令和5年度の一般会計予算額は、前年度に比べ、「10億6千万円」の増加となる「295億4千万円」となっております。
特別会計と企業会計の合計「151億円」を含めますと、全体では「446億4千万円」となり、前年度と比較し「15億9千万円」増加しています。

歳入の状況については、市税収入のうち市民税が「47億4千万円」と、前年度と比較し「3億7千万円」の減少を見込んでおります。
また、令和5年度は、一時的に交付団体から不交付団体に転じるため、地方交付税および市債が大幅に減少する見込みです。
これらを補うため、基金からの繰入金は「51億6千万円」と、前年度と比較し大きく増加しています。

次に、歳出については、必要な行政サービスの内容や運営体制の見直し、公共施設の適正化を図ってまいりますが、未来につながる取組については、重点的に取り組んでまいります。

性質別では、人件費や扶助費などの「義務的経費」については、「128億2千万円」となり、「2億6千万円」減少しています。
物件費や維持補修費などの「その他経費」については、「122億3千万円」と、前年度と比較して「2億4千万円」増加しています。
そのうち補助費等については、「3億3千万円」の増加となっていますが、これはアイアンマンレースへの負担金や農業者への電気料金高騰に対する支援などの新たな取組が主な要因となっています。
また、普通建設事業費などの「投資的経費」については、当初予算に計上した44億9千万円に、令和4年度からの繰越事業分を加え、合計70億円を確保し、将来に向けた投資をしっかりと行ってまいります。

(2)令和5年度の重点施策

引き続きまして、3つの重点施策について、それぞれご説明いたします。

住んでみたい・訪ねてみたいまちづくり

まず、1点目の「住んでみたい・訪ねてみたいまちづくり」です。

そのうち、「地域の特色を活かした産業振興」としましては、市民の生活を支える基盤となり、地域の魅力を高め、地域全体の持続的な発展につなげるため、農業や水産業、商工業など地域産業の振興に積極的に取り組んでまいります。

全国有数の産出額を誇る農業分野では、生産基盤の強化やスマート農業の推進による生産性向上に努めるとともに、新規就農者の支援や電気料高騰に対する補助など、安定的な経営に向けた取組を進めます。

また、首都圏でのプロモーション活動などを継続し、国内外の販路を開拓するとともに、特に日本一の産出額を誇る「花き」については、これまで好評をいただいている田原の花の定期便「タハナ」を継続し、花のある暮らしを提案してまいります。

また、シンボル花壇や街路樹など花の環境を整備するとともに、「世界一の花のまち」を目指したアイデア募集など、新たな取組に挑戦してまいります。

その1つとして、菜の花が咲き誇る来年2月に開催予定の「日本風景街道大学 菜の花田原キャンパス」など、さまざまな場面で「花のまち」をPRしてまいります。

さらに、オープンから約30年を迎える農業公園「サンテパルクたはら」のリニューアルに取り組むとともに、新たな付加価値として大学サテライトキャンパスの誘致を進めてまいります。

水産業においては、国や愛知県と連携した支援を行うことで、漁業環境の改善を図るとともに、あさり稚貝採取・放流事業を再開するなど、資源の維持に向けた支援を行い、「守り育てる漁業」を推進してまいります。

商業では、「渥美半島たはらブランド」など、新たな商品開発を後押しし、特産品を通したシティセールスを推進するとともに、商業団体のプレミアム付き商品券の発行支援などにより、市内の消費を喚起し、地域経済の活性化につなげてまいります。

また、工業では、三河港振興のため、「田原公共ふ頭のマイナス10メートル耐震強化岸壁」の早期実現を目指すとともに、臨海部において国内最大級を含む4社が着工した「バイオマス発電事業」など、さらなる企業誘致を推進してまいります。

次に、「定住・移住」に関しましては、これまでの「定住・移住促進奨励金」や「空き家活用」などを継続するとともに、本市を移住先として選んでいただけるよう、「お試し移住支援」を含めて積極的にPRしてまいります。

「関係・交流人口の拡大」の取組としましては、渥美半島ならではの観光資源の魅力を広く発信してまいります。

なかでも、全国屈指のサーフスポットという魅力を最大限に活かした「田原市サーフタウン構想」では、コテージ型の民間宿泊施設がいよいよオープンいたします。

この施設では、マジックアワービューをイメージした夕陽が広がる太平洋ロングビーチの美しい海岸線を眺めながら、温泉にゆったりとつかることができます。

今後は、もうひとつの核となるサーフタウン住宅開発事業について、地域の皆さんのご理解をいただきながら、土地開発公社による宅地造成工事を始めてまいります。

住み続けたいまちづくり

続いて、大きな2点目の「住み続けたいまちづくり」については、「誰もが安心して住み続けられるまち」を目指し、子育て・教育環境の充実や安心・安全で快適なまちづくりに取り組んでまいります。

まず、結婚後の新生活を支援するため、新居に係る費用を補助する制度を拡充し、経済面での負担軽減に取り組んでまいります。

「子育て支援」では、最も不安を抱えやすいとされる妊娠期から産後早期の伴走型支援を行うとともに、「出産・子育て応援給付金」を支給することで、安心して妊娠出産・子育てを迎えるための支援を行ってまいります。

また、DXの一環として、市内保育園および児童クラブに新たにICTシステムを導入し、入退室の確認や欠席連絡、おたよりのペーパーレス化などにより、保護者の利便性向上とサービスの充実を図ります。

「教育」につきましては、小・中学校の特別教室へ空調を整備するほか、童浦小学校や清田小学校の屋内運動場の改築・長寿命化など、計画的な施設整備を行うとともに、地域と連携した魅力ある学校づくりを進め、教育環境の向上に努めてまいります。

「スポーツ」につきましては、官民連携による市民プールの整備について、可能性調査を実施してまいります。

このプールは、福江市街地を整備候補地としており、水泳授業の集約化による子どもたちのすこやかな成長に寄与するとともに、将来に向けた賑わいづくりと併せ、しっかりと進めてまいります。

また、新春の「ニューイヤー駅伝」や「箱根駅伝」において、本市にゆかりのある選手が大活躍したことや、2026年アジア競技大会のサーフィン競技が本市において開催される予定であることなど、スポーツを通じて夢を持てる機運が醸成されております。

そこで、本市の子どもたちが全国、そして世界へと羽ばたくことを期待し、一流アスリートから競技技術や夢に向かって頑張ることの大切さを学べるよう、講演会やスポーツ教室などを開催してまいります。

安心・安全で快適なまちづくり」では、老朽化が進んでいる防災行政無線について、デジタル式の設備に更新し、突発的な災害に対する備えをさらに万全にしてまいります。

また、「道路・橋りょう」については、「道路清掃車」や「道路点検システム」により適切に維持管理し、長寿命化を図るとともに、「公共交通」については、民間事業者の運行経費やICカード導入の支援、コミュニティバス「ぐるりんバス」の運行を継続してまいります。

これらの生活に必要不可欠な公共インフラをしっかりと確保し、生活の基盤となる田原・赤羽根・渥美の3つの市街地の活性化を図ることで、魅力的な都市づくりを進めます。

それに加え、地域の担い手である地域コミュニティ組織の活動を支援するとともに、活動の拠点となる市民館についても計画的な整備を進めてまいります。

また、高齢ドライバーによる交通事故を抑止するため、これまでの「運転免許証自主返納への支援」や「安全運転支援装置の購入支援」に加え、新たに「免許返納者に対するシニアカーの購入支援」を始めます。

「医療・福祉」につきましては、引き続き新型コロナウイルス感染症への対策に万全を期すとともに、拠点病院である渥美病院における高度医療機器の整備や医療従事者の確保、産科および小児科の充実に対する支援を進めます。

また、田原福祉グローバル専門学校の運営支援により、地域の介護人材を確保し、市民の皆さんが安心して暮らせるよう努めてまいります。

未来につながるまちづくり

最後に、3点目の「未来につながるまちづくり」でございます。

まず、脱炭素、カーボンニュートラルの取組については、世界の潮流となっており、本市においても、温室効果ガスの排出を実質ゼロにする「たはらゼロカーボンシティ」を目指すことを表明しているところです。

本市の臨海部には、バイオマス発電事業のほか、風力発電やメガソーラーが展開しており、さながら「次世代エネルギー拠点基地」の様相を呈しておりますが、それに加え、水素や燃料アンモニア等の次世代エネルギーに関連した企業誘致を検討してまいります。

今後は、カーボンニュートラルに向けた市民の皆さんの取組を推進するため、新たに「たはらゼロカーボンシティ推進事業費補助金」を創設するほか、主要施設への電気自動車用急速充電器の設置や照明のLED化を順次実施してまいります。

また、資源エネルギー回収の向上や財政負担軽減のため、豊橋市とのごみ処理の広域化を進めているところです。

新たな施設は、令和9年度末の稼働予定となっており、豊橋市と連携して施設整備にとりかかってまいります。

さらに、国は、デジタルの力で地域の社会課題を解決し、誰もが便利で快適に暮らせる社会を目指す「デジタル田園都市国家構想」の実現を図っていくこととしています。

本市においても、「デジタル市役所」や「キャッシュレス化」の推進などに積極的に取り組むとともに、これらを活用し、都市部に負けないこの地域の魅力を生かした持続可能なまちづくりを目指してまいりたいと思います。

最後に、本市の悲願である「渥美半島道路」でございます。

移動時間の大幅な短縮、定時性の向上、強靭化を図る「渥美半島の先端までの信号の無い道路」は、この東三河地域の産業振興や安心安全、地域の交流を支えるため、必要不可欠なものです。

最近では、市内において「早期実現 渥美半島道路」のキャッチフレーズが浸透してきており、この道路に対する期待も、日に日に高まってきていることを実感しています。

現在の構想路線から計画路線へと進展させるためには、市民や団体、事業者など、地域が一丸となった取組が必要となりますので、この機運をさらに前に進め、早期実現につなげてまいりたいと考えています。

終わりに

以上が、新年度予算の大綱と重点施策でございます。

田原市は、今年、市制施行20周年を迎えます。

20年前、「平成の大合併」の流れの中、愛知県内で第1号の合併により、田原市が誕生いたしました。

誕生までには、さまざまな困難があり、その道のりは決して平たんではありませんでしたが、当時の関係者が、将来の夢のある「まち」を目指し、懸命に尽力してきたことが思い起こされます。

今を生きる我々も、この節目の年にこれまでの歩みを振り返り、未来に向けた新しいスタートとして、本市の魅力や歴史・文化を再発見し、郷土愛を高めるため、さまざまな記念事業により盛り上げてまいります。

また、本年は、今後10年間のまちづくりの指針となる新たな総合計画を策定してまいります。

市民の皆さんと一緒に知恵を出し合い、次の将来に向けて子どもたちが夢を持てる、誇りに思えるような「まち」をつくっていきたいと思い、令和5年度予算を「未来に向けて 夢と魅力をはぐくむ予算」として編成いたしました。

議員各位をはじめ、市民の皆さんの格別のご理解とご協力をお願い申し上げ、令和5年度の施政方針とさせていただきます。ありがとうございました。

令和5年3月1日

田原市長 山下政良

施政方針 の全文は下記からダウンロードできます。

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