令和7年度施政方針(令和7年田原市議会第1回定例会)

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ページ番号1011696  更新日 2025年3月6日

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渥美半島を元気に!!「こどもを育み、活力ある未来を創る」予算

はじめに

田原市議会 令和7年第1回定例会の開会にあたりまして、新年度における市政運営の基本方針と予算の大綱を申し上げ、議員各位をはじめ、市民の皆さま方のご理解とご協力を賜りたいと存じます。

さて、私が3期目の市政の舵取りを担わせていただいてから、早いもので2年が過ぎようとしております。
これまでの10年間、「渥美半島を元気に!」との思いを胸に、一つ一つ着実に市政運営に取り組み、さまざまな課題に全力でチャレンジしてまいりました。
引き続き、令和7年度も、「住んで良かった」、「住んでみたい」と思っていただけるようなまちを目指し、市政運営に邁進してまいります。

社会・経済動向と今後の展望

さて、わが国において、政府は、当面は人口・生産年齢人口が減少するという事態を正面から受け止めたうえで、人口規模が縮小しても経済成長し、社会を機能させる適応策を講じていくため、次の10年を見据えた「地方創生2.0」を起動し、この国の在り方、文化、教育、社会を変革する大きな流れをつくり出すとしております。
また、海外に目を向けますと、先月アメリカ大統領が交代し、世界経済へ与える影響は大きいものと想定されるため、製造業をはじめ本市への影響を注視していく必要がございます。

一方で、国の経済見通しでは、総合経済対策の効果が下支えとなって、賃金上昇が物価上昇を上回り、個人消費が増加することを期待するとともに、企業の設備投資も堅調な動きが継続するなど、引き続き、民間需要主導の経済成長となることが期待されております。
そのため、引き続き、全ての世代の現在及び将来にわたる賃金・所得の増加を最重要課題とし、最低賃金の引上げ、価格転嫁等の取引適正化、人手不足に対応する省力化・デジタル化投資の促進や、DX・GX・AI・半導体等の成長分野における官民連携投資などに取り組むこととしており、本市においてもこれらの動きを的確に捉え、未来を見据えた取組を進めてまいります。

振り返り

さて、昨年を振り返りますと、将来を担う子どもや子育て世帯を積極的に応援するため、こども基金を活用して、保育園・こども園の保育料及び給食費の無償化、小中学校入学応援金の支給、18歳までの医療費無償化、妊産婦のタクシー利用料助成、家事支援サービスの提供などの、新たな支援策に取り組んでまいりました。
また、農業分野では、昨年3月に公表された市町村別農業産出額において、本市の農業産出額が初めて900億円を超え、これまでの取組の成果が表れてきております。
観光分野では、渥美半島の夜空を彩る「第1回渥美半島花火大会」が初めて開催され、約4,000発の色とりどりの花火が会場を盛り上げ、多くの人で賑わいました。

三河港田原地区では、愛知県の事業として、田原公共埠頭のマイナス10m耐震強化岸壁の整備が進められております。
これにより、バルク貨物輸送の効率化や船舶の大型化への対応が図られ、企業進出の追い風となるとともに、大規模災害の発生に備えた安全対策が図られるなど、本市への大きな波及効果を期待しております。
さらに、臨海部ではバイオマス発電事業が着実に進み、昨年には1基が稼働し、今年はさらに3基の稼働が予定されております。
風力発電や太陽光発電とあわせて、国内最大級の再生可能エネルギーの集積地となり、カーボンニュートラルの推進に加えて、雇用の創出などにも大きな効果があるものと期待しております。

この他にも、「太平洋ロングビーチ」を望む弥八島周辺に整備した住宅地「LaSea-THE SURFTOWN TAHARA-」の分譲が昨年4月から始まりました。
先日モデルハウスも完成しましたので、今後、販売が加速していくことを期待しております。
そして、この地域をモデルとして、多くのサーファー等を呼び込むとともに、本市の魅力を全国に向けて広く発信してまいります。

予算編成の重点施策

それでは、令和7年度予算の大綱について、ご説明いたします。

予算編成における重点施策として、引き続き「住み続けたいまちづくり」、「住んでみたい・訪ねてみたいまちづくり」、「未来につながるまちづくり」の3つの柱を掲げ、元気な渥美半島の実現に向けて取り組んでまいります。

(1)予算の概要

令和7年度の一般会計予算額は、前年度と比較し、「13億2千万円」の増加となる「332億9千万円」となっております。
特別会計と企業会計の合計「154億円」を含めますと、全体では「486億9千万円」となり、前年度と比較し、「14億9千万円」増加しています。

歳入の状況については、市税は「152億4千万円」を見込み、前年度と比較し「9億6千万円」の増加となっております。これは、固定資産税が、主な要因となっています。
また、普通交付税については、不交付団体となることが見込まれ、市債については、大規模事業の完了などにより大きく減少しています。
基金からの繰入金は、施設整備などにより、前年度と比較し大きく増加しています。

次に、歳出の状況については、行政サービスの再構築や公共施設の適正化などを進めるとともに、重点施策に基づき、将来を見据えた取組を重点的に進めてまいります。

性質別では、人件費や扶助費などの「義務的経費」については、「140億9千万円」となり、前年度と比較し「10億2千万円」増加しています。
物件費や維持補修費などの「その他経費」については、「147億円」となり、前年度と比較し「9億6千万円」増加しています。
そのうち積立金が「5億8千万円」、物件費が「5億1千万円」の増加となっていますが、これは「ふるさと納税」の拡大による基金への積立金や返礼業務の委託料、廃止した施設の解体に係る費用が主な要因となっています。
また、普通建設事業費などの「投資的経費」については、当初予算に計上した「44億9千万円」に、令和6年度からの繰越事業分を加え、合計「67億9千万円」を確保し、将来に向けた投資をしっかりと行ってまいります。

(2)令和7年度の重点施策

引き続きまして、3つの重点施策について、それぞれご説明いたします。

住み続けたいまちづくり

まず、大きな1点目の「住み続けたいまちづくり」でございます。

昨年度に引き続き、将来を担う子どもたちが健やかに育つことができるよう、子育て支援により一層力を入れて取り組んでまいります。
これまで取り組んできた「365日保育」、「保育園・こども園の保育料及び給食費の無償化」、「小中学校入学応援金の支給」、「18歳までの医療費無償化」などに加え、新たな支援策として「小中学校給食費の半額支援」を実施してまいります。
加えて、高校生等へのバス通学費の助成を拡充し、子育てしやすい環境づくりを進めてまいります。

また、安心して妊娠・出産を迎えられるよう、伴走型の相談支援や妊産婦のタクシー利用助成など、産前・産後ケアに対する支援を継続してまいります。
そして、保育園では、適正な集団保育規模や安全性の確保、保育サービスの充実を図るため、第一保育園と中部保育園の統合に向けた取組を進めるとともに、東部中学校区内の4保育園の適正化についても取り組んでまいります。

教育分野では、GIGAスクール構想の第2期として、児童生徒に貸与している1人1台端末の更新や学習アプリの導入など、学校のICT環境の充実に努めてまいります。
また、童浦小学校を始めとする学校施設の長寿命化や屋内運動場への空調設備の整備を計画的に進め、児童生徒の教育環境の向上に努めてまいります。

そして、中学校の休日部活動の地域移行に向けて、子どもたちが部活動の枠にとらわれることなく、スポーツ、文化、芸術など、さまざまな選択肢の中から、休日の過ごし方を選択できるよう、地域で活動を受け入れる体制の整備を進めてまいります。
さらに、小中学校のプール集約化と併せ、子どもから高齢者までの交流を生み出す場として、市民プールや温浴施設のほか、民間インストラクターの指導による小中学校の水泳授業、健康増進や介護予防のための水泳教室、子育て相談やキッズスペースなどの親子が気軽に過ごすことのできる居場所などの機能を持つ、「多世代交流施設」の整備を進めてまいります。

スポーツでは、新春の「ニューイヤー駅伝」や「箱根駅伝」、また、小中学生・高校生の全国大会など、本市にゆかりのあるチームや選手が、さまざまな舞台で活躍しております。
そして、令和8年度には、アジア競技大会のサーフィン競技が赤羽根の太平洋ロングビーチで開催される予定で、前年となる令和7年度には、アジア競技大会の選手選考を兼ねた「アジアサーフィン選手権」の開催が予定されております。
この機を捉え、スポーツの振興や本市の認知度向上を図るとともに、子どもたちが夢に向かって頑張ることの大切さを学んでもらえるよう、さまざまな種目の一流アスリートによるスポーツ教室の開催などを通して、子どもたちを育んでいきたいと考えております。

福祉・医療分野では、誰もが安心して暮らせる地域共生社会の実現に向けて、重層的支援体制の充実に努めるとともに、田原福祉グローバル専門学校の運営を支援し、地域の介護人材の確保に努めてまいります。
また、地域の拠点病院である渥美病院における医療機器の整備や医師確保、産科及び小児科の充実に対する支援、赤羽根診療所の安定的な運営など、医療基盤を確保・維持してまいります。

住んでみたい・訪ねてみたいまちづくり

次に、2点目の「住んでみたい・訪ねてみたいまちづくり」でございます。

市民の皆さまの生活を支える基盤となり、地域全体の持続的な発展につなげるため、農業や水産業、商工業などの地域産業の振興に積極的に取り組んでまいります。
中でも、全国トップクラスの産出額を誇る農業では、生産基盤の強化やスマート農業の推進による生産性・効率性の向上を図るとともに、新規就農者など次世代を担う多様な担い手の確保・育成に努め、安定的な経営に向けた取組を進めてまいります。
水産業では、ICTを活用した渥美湾の環境調査や新たな水産資源の開発を目指した「スマート養殖」の実証実験を行い、安定的で持続可能な水産業の実現につなげてまいります。
また、商業や観光業をはじめとする市内経済全体の振興を図る拠点として、「(仮称)田原市産業会館」を整備してまいります。
そして、伊良湖地域においては、海の玄関口で観光拠点でもある道の駅や周辺の賑わいづくりを、防災の視点も考慮して進めてまいります。

次に、「定住・移住」につきましては、これまでの「定住・移住促進奨励金」や「空き家活用」などを継続するとともに、弥八島周辺の住宅地「LaSea-THE SURFTOWN TAHARA-」の分譲や、アジアサーフィン選手権の開催などを通じて、「サーフィンのまち田原」の魅力を広く発信し、定住・移住につなげてまいります。
また、農業公園「サンテパルクたはら」のPFI事業を活用したリニューアルに取り組み、民間活力によるサービスの質や魅力の向上に努めてまいります。

さらに、「日本一の花の生産地」の強みを活かし、市内各所で四季折々の花を楽しめるよう、幹線道路沿いの街路樹や三河田原駅前広場の花壇の整備などを進め、「世界に誇れる花のまち」として広く国内外に発信することで、本市の認知度向上とまちに対する誇りの醸成につなげてまいります。
加えて、「渥美半島たはらブランド」や「ふるさと納税の返礼品」など、特産品を通じたシティセールスを引き続き推進するとともに、伊良湖温泉や渥美半島花火大会など、渥美半島ならではの観光資源の魅力を広く発信し、関係人口や交流人口の拡大につなげてまいります。

未来につながるまちづくり

最後に、3点目の「未来につながるまちづくり」でございます。

防災・減災対策として、能登半島地震を教訓に、道路や橋りょう、上下水道、公共交通などの公共インフラの適切な維持管理や長寿命化を図るとともに、情報伝達手段の強化や備蓄資機材の充実に努めてまいります。
また、国や愛知県、関係機関と連携した消防・防災訓練を積極的に実施するとともに、災害時における半島先端地域の孤立防止策や早期復旧・復興に必要な交通インフラの機能強化及び拠点整備のあり方などを検討し、災害に強い地域づくりを推進してまいります。
そして、コミュニティ活動の拠点であり、災害時の防災拠点となる市民館につきましては、野田市民館の建替に加え、地震避難所としての収容能力の不足が懸念される田原南部市民館と和地市民館の多目的ホールの整備を進めてまいります。

公共交通では、路線バスを補完するコミュニティバスのうち、「ぐるりんミニバス中山線」において、利便性や効率性の向上を図るため、新たな運行方式としてデマンド運行の実証実験を行ってまいります。
これらに加え、地区拠点であり生活の基盤となる田原・赤羽根・渥美の3つの市街地の活性化を図るため、大規模な低未利用地や空き家の利活用計画の策定などを進めるとともに、地域の担い手である地域コミュニティ組織の活動を支援し、住みやすいまちづくりを進めてまいります。

また、老朽化により公共施設の再配置の検討を進めてきました赤羽根市民センターと赤羽根文化会館につきましては、市民サービスの維持・向上を図るため、市民窓口機能と図書サービス機能を兼ね備えた複合施設の整備に取り組んでまいります。

次に、「持続可能なまちづくり」に向けて、「ごみ処理広域化」では、エネルギー回収の向上や財政負担軽減に向け、豊橋市と共同で「豊橋田原ごみ処理施設」の整備を進めているところでございます。
4月から本格的に始まる、可燃ごみと生ごみの共同処理の取組をはじめ、豊橋市との「ごみ処理広域化」を着実に進めてまいります。

また、二酸化炭素排出量を2050年までに実質ゼロにする「たはらゼロカーボンシティ」の実現に向け、太陽光発電設備などの導入に対する補助を拡充するなど、再生可能エネルギーの導入と有効活用を促進し、脱炭素の取組を加速化してまいります。

そして、デジタル社会の実現に向けて、さまざまな分野でデジタル技術を活用した取組を積極的に進め、利便性向上や負担軽減につながる市民サービスを実現するとともに、デジタル技術の活用による地域の課題解決や活性化を図ってまいります。

最後に、本市の悲願である「渥美半島道路」でございます。
移動時間の短縮、定時性の向上、強靭化を図る、渥美半島の先端までの信号の無い道路は、市民の暮らしや地域の安心安全、産業の振興などを支えるため、そして、災害時に命をつなぐ緊急輸送道路としても、本市にとって必要不可欠なものであると考えております。
現在の構想路線から計画路線へと進展させるためには、市民や団体、事業者など、地域が一丸となった取組が必要となりますので、この機運をさらに高め、国や愛知県と連携して早期実現につなげてまいりたいと考えております。

終わりに

以上が、新年度予算の大綱と重点施策でございます。

最後になりますが、平成27年4月に市政の舵取りを担わせていただいて以来、早10年が経とうとしております。

この間、市民の皆さまとともに地域の活力と安らぎに満ちた暮らしを送ることができるよう、「渥美半島を元気に!!」を合言葉に、さまざまな課題に真っすぐに向き合ってまいりました。

今後も、市民の皆さまと一緒に知恵を出し合い、活力ある明るい未来を創っていきたいと思い、令和7年度予算を「こどもを育み、活力ある未来を創る」予算として編成いたしました。

議員各位をはじめ、市民の皆さまの格別のご理解とご協力をお願い申し上げ、令和7年度の施政方針とさせていただきます。ありがとうございました。

令和7年2月27日

田原市長 山下政良

施政方針 の全文は下記からダウンロードできます。

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