市長所信表明(令和5年田原市議会第2回定例会)

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ページ番号1010198  更新日 2023年6月8日

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市長所信表明

写真:令和5年田原市議会第2回定例会の様子

(令和5年6月8日)

はじめに

田原市議会 令和5年第2回定例会の開会にあたりまして、市政運営の基本となります所信の一端を申し上げ、市民の皆さま、並びに市議会議員の皆さまのご理解とご協力をいただきたいと存じます。

まず、所信を述べさせていただく前に、先日の大雨による被害状況について申し上げます。
今月2日から3日にかけての記録的な大雨により、本市の広範囲にわたり多くの被害が発生いたしました。
幸いなことに、本市においては人的な被害はございませんでしたが、住宅の床上・床下浸水の被害が発生するとともに、現在、調査中でございますが、農業関係にも市内各所において多くの被害が発生しています。
それを受け、農業被害はまだ確定しておりませんが、一昨日農林水産省に出向き、今回の豪雨による被害に対する支援を農林水産副大臣に直接要望してまいりました。
また、白谷町の主要地方道豊橋渥美線をはじめとする道路も、土砂崩れや土砂の流出、倒木など数多くの被害を受けましたので、愛知県など関係機関や事業者の皆さんと連携し、一日も早い復旧を目指しているところです。
さらに、明後日に予定されている「アイアンマンレース」を安全に開催するため、市職員をはじめ、市民の皆さんのご協力をいただき、海岸に漂着した流木等の除去作業を実施してまいりました。
今回、被災された皆さま方には、心からお見舞い申し上げますとともに、復旧に向けた市民の皆さまのご尽力に心から感謝申し上げる次第でございます。

さて、私は、去る4月23日に執行されました田原市長選挙におきまして、市民の皆さまからの負託を受け、引き続き市政の舵取りを任せていただくこととなりました。
このことは、大変光栄なことであるとともに、その重責に身が引き締まる思いでございます。
今回の選挙戦を通して、これまでの実績に対して一定の評価をいただくことができたものと感じる一方、叱咤激励の声もあったものと受け止めているところです。
いずれにいたしましても、今後のまちづくりに対する市民の皆さんのご期待を強く感じたところであり、改めて初心を忘れることなく、誠心誠意応えていかなければならないと、決意を新たにしているところであります。

振り返り

私は、「田原に住んでみたい」、「田原に住んでよかった」と思っていただけるような魅力あふれるまちを創ることが市長としての責務であると考え、8年前の市長就任時から、繰り返し「渥美半島を元気に!」と発信してまいりました。
そのため、臨海部に4社が着工した「バイオマス発電事業」の誘致や伊良湖温泉の活用による地域産業の活性化、津波避難施設の整備をはじめとする防災対策など、将来へとつながる取組みについて、着実に前に進むことができたと思っています。
また、「365日保育」や「親子交流館すくっと」設置による子育て支援、赤羽根診療所の開設による地域医療の充実に加え、「ふるさと教育センター」の開設やICT教育の推進、保育園・小中学校へのエアコン整備やトイレ洋式化など、教育環境の充実にも力を入れてまいりました。
一方では、この間、台風による被害や豚熱の発生、新型コロナウイルス感染症の蔓延など、さまざまな問題が発生しましたが、市民の生命と生活を守るということを最優先に、関係者のご協力をいただきながら、全力で取り組んでまいりました。
特に、新型コロナウイルス感染症については、先月から感染症法上の位置づけが5類感染症に引き下げられましたので、今後は高齢者などリスクの高い方に配慮しつつ、安心・安全な日常生活を取り戻していきたいと考えています。

基本姿勢

このように、これまでの2期8年の取組みについては、さまざまな分野で一定の成果が出ているところですが、この渥美半島にはまだまだ大きな魅力と可能性があります。
今後も、本市の持続的な発展を見据え、関係機関や市民の皆さんと一緒になって、さまざまな課題に積極的に取り組むことにより、元気な渥美半島の実現に向けて、まい進してまいりたいと考えておりますので、議員各位をはじめ、広く市民の皆さんのご理解とご協力を賜りますよう、お願い申し上げます。

市政運営の基本的な考え方

それでは、3期目のスタートにあたり、今後の市政運営の基本的な考えとなる3点の方向性をお示ししたいと思います。

まず、1点目は「住んでみたい・訪ねてみたいまちづくり」です。
生活を支える基盤となり、地域全体の持続的な発展につなげるため、農業や水産業、商工業、観光業など地域の特色を活かした産業振興に積極的に取り組んでまいります。
全国有数の産出額を誇る農業分野では、生産基盤の強化やスマート農業の推進による生産性向上に努めるとともに、施設園芸における脱炭素化を進めるなど、安定的な経営に向けた取組みを進めます。
特に、日本一の産出額を誇る「花き」については、愛知みなみ農協の集出荷施設の整備を支援するほか、田原の花の定期便「タハナ」を継続し、花のある暮らしを提案してまいります。
さらに、知名度や魅力度を向上するため、行政だけでなく市民・団体・事業者等と一緒になって、「花のまち」にふさわしい景観整備や情報発信、ソフト事業を実施し、「世界に誇れる花のまち」を目指してまいります。
また、オープンから約30年を迎える農業公園「サンテパルクたはら」では、リニューアルを行うとともに、新たな付加価値として大学サテライトキャンパスの誘致を進めてまいります。
工業では、「田原公共ふ頭のマイナス10メートル耐震強化岸壁」の整備が、事業期間を3か年とする計画で決定されました。
これにより、臨海部への新規の企業立地や既存の企業などに大きな波及効果が期待されます。
観光では、各地域の特色を活かした取組みを進めるとともに、観光拠点である伊良湖地域では、リニューアルオープンした「伊良湖クリスタルポルト」や「伊良湖温泉」などを活用し、関係人口の増加を図ってまいります。
市内のさまざまな観光資源をつなぎ、周遊性を高めることにより、渥美半島ならではの魅力向上に努めてまいります。
また、スポーツの分野では、本市にゆかりのある選手の活躍が目覚ましく、スポーツを通じて夢を持てる機運が醸成されております。
そのため、明後日に開催される「アイアンマンレース」をはじめ、「サーフィン」や「駅伝」などの大会の開催を積極的に支援し、本市の魅力を国内外に広く発信してまいります。
これらの取組みに加え、これまで進めてきた「サーフタウン構想 住宅開発事業」につきましても、令和6年には分譲予定となっていますので、本市を移住先として選んでいただいたり、「ふるさと納税」などで応援いただいたりすることで、活力あるまちづくりにつなげてまいります。

続いて、2点目の「住み続けたいまちづくり」については、「誰もが安心して住み続けられるまち」を目指し、安心・安全で快適なまちづくりに取り組んでまいります。
まず、「子育て」については、最も不安を抱えやすいとされる妊娠期から産後早期の伴走型支援を行うとともに、「365日保育」を継続し、安心して妊娠出産・子育てを迎えるための支援を行ってまいります。
次に、「医療」につきましては、渥美病院における医療機器の整備や医療従事者の確保を支援するとともに、赤羽根診療所の運営を継続してまいります。
なかでも、本市の拠点病院である渥美病院については、産婦人科および小児科の充実に向けて、今後もしっかりと支援してまいります。
「福祉」につきましては、地域包括ケアシステムの充実などにより、高齢者や障がいのある方が安心して暮らせるよう努めるとともに、多様なニーズに対応する包括的な支援体制の構築に向け、「重層的支援体制整備事業」に取り組んでまいります。
また、高齢者が住み慣れた地域で生活できるよう地域の実情に応じた住環境の整備や、独居高齢者の見守り支援等に取り組んでまいります。
「公共インフラ」のうち、「道路」については「道路清掃車」などにより適切に維持・管理し、長寿命化を図るとともに、風光明媚な渥美半島の豊かな自然環境を保全し、市民や事業者、行政との協働により、良好な景観を次世代へ継承してまいります。
また、「公共交通」についても、民間事業者の支援やコミュニティバス「ぐるりんバス」の継続により、しっかりと確保するとともに、生活の基盤となる田原・赤羽根・渥美の3つの市街地については、それぞれの特性を活かし、「魅力的な都市づくり」を進めます。
さらに、市民の皆さんの生命と財産を守るため、発生が危惧される「南海トラフ地震」をはじめとする自然災害への備えを万全にするとともに、消防施設や車両の整備、消防団の組織体制の維持など、消防・救急体制を充実させてまいります。

最後に、3点目の「未来につながるまちづくり」でございます。
まずは、何といっても、本市の悲願である「渥美半島道路」でございます。
移動時間の大幅な短縮、定時性の向上、強靭化を図る「渥美半島の先端までの信号の無い道路」は、この東三河地域の産業振興、物流や救急医療、防災など安心安全、地域の交流を支えるため、必要不可欠なものです。
最近は、あらゆる場面で「早期実現 渥美半島道路」のキャッチフレーズが浸透してきており、この道路に対する期待が、日に日に高まってきていることを実感しています。
現在の構想路線から計画路線へと進展させるため、市民や団体、事業者など、地域が一丸となって取り組み、この機運をさらに前に進めることで、早期実現につなげてまいりたいと考えています。
次に、本市の将来を担う若い世代を応援するため、さまざまな支援策を拡充してまいります。
具体的には、こども園等における保育料や給食費の無償化をはじめ、小・中学校の入学時における必要な経費の支援や18歳までの医療費無償化などに取り組んでまいります。
これらの支援策につきましては、今後、国により示されます経済財政運営の指針「骨太の方針」を注視しつつ、実施内容や時期についてしっかりと検討してまいります。
また、福江市街地の賑わいづくりと学校プールの集約化に向けた市民プールの整備など、必要な施設整備に取り組むとともに、一流アスリートによる講演会やスポーツ教室などを開催してまいります。
今後も、本市の子どもたちが夢に向かって頑張ることの大切さを学ぶことで、全国、そして世界へと羽ばたくことを期待したいと思います。

【DX、カーボンニュートラル、公共施設適正化、総合計画

最後になりますが、全国的に人口減少が進展する中、本市においても平成17年をピークに人口減少が進んでおり、さまざまな状況を見ても、さらなる減少は避けることができません。
今後は、税収などの財政状況を見極めつつ、人口減少を前提とした持続可能な地域社会の実現を目指す必要があります。
そのため、DX、デジタルの力を活用し、市民の利便性向上や地域の活性化、効率的で的確な行政運営をはじめとする社会課題への対応を進め、誰もが便利で快適に暮らせる社会を目指してまいります。
また、世界の潮流でありますカーボンニュートラルの取組については、引き続き「たはらゼロカーボンシティ」の実現を目指してまいります。
本市臨海部では、バイオマス発電事業のほか、風力発電やメガソーラーが数多く展開しておりますが、それらに加え水素アンモニア等の次世代エネルギーに関連した企業誘致やエネルギーの地産地消を目指すなど、環境に配慮した取組みを進めてまいります。
さらに、公共施設についても、施設の長寿命化や複合化、統廃合を進めるとともに、未利用施設の活用や撤去、民間活力の導入などにより、市民サービスの充実と将来コストの縮減を図ってまいります。
これらを踏まえ、今年度、市民の皆さんのご意見を伺いながら、今後10年間のまちづくりの指針となる新たな「総合計画」を策定し、こうした課題に取り組んでまいります。

おわりに

以上、市政運営に係る所信の一端を申し上げてまいりました。
冒頭に申しあげましたとおり、渥美半島を元気にし、訪ねてみたい、住み続けたいと思っていただけるようなまちづくりが、私の目標でございます。
今年度は、市制施行20周年となる節目の年でございます。
この機会に、これまでの歩みを振り返るとともに、未来に向けて市民の皆さんと一緒に知恵を出し合い、さらなる飛躍へとつながる取組みを進めてまいります。
そして、子どもたちが夢を持てる、誇りに思えるような元気な渥美半島を、ぜひとも一緒につくってまいりましょう。
終わりにあたりまして、改めて市民の皆さま並びに議員の皆さまに、格別なる市政へのご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げ、私の所信表明といたします。
ありがとうございました。

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