平成31年度施政方針(平成31年田原市議会第1回定例会)

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ページ番号1006137  更新日 2019年2月26日

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平成31年田原市議会第1回定例会

写真:平成31年田原市議会第1回定例会のようす

(平成31年2月25日)

渥美半島を元気に!!「さらなる飛躍への礎を築く」予算編成

はじめに

田原市議会平成31年第1回定例会の開会にあたりまして、新年度における市政運営の基本方針と予算の大綱を申し上げ、議員各位をはじめ、市民の皆様方のご理解とご協力を賜りたいと存じます。

まず、はじめに昨日の朝、平成29年度から田原市博物館の名誉館長を務めていただいておりましたドナルド・キーン先生がお亡くなりになりました。

生前は、日本文学はもとより、渡辺崋山先生の業績も深く研究され、田原市発展のために寄与されました。

ここに、謹んで哀悼の意を表したいと思います。

そして、市民の皆さまにご心配をおかけしています「豚コレラ」への対応について、ご報告させていただきます。

まず、豊田市内で「豚コレラ」が発生した事例でございますが、市内にある関連農場の肥育豚について、2月6日に感染が確認されました。その後、13日および14日にも新たに別の養豚団地において感染が確認され、関連するすべての養豚場が防疫措置の対象となりました。

発生直後から、愛知県により防疫措置が実施され、これに本市職員も協力するとともに、15日からは自衛隊にも応援をいただき、昨日にはすべての防疫措置が終了しております。

現在は、さらなる感染拡大を防ぐため、発生農場を中心とした移動制限区域および搬出制限区域を設定するとともに、市内および豊橋市の主要道路に消毒ポイントを設置し、車両の消毒を継続しています。今後も、畜産農家の皆さんと緊密に連携するとともに、愛知県や関係団体と協力し、終息に向けて防疫体制の強化を図ってまいります。

また、18日には、豚コレラワクチンの接種や経営再建のための支援、野生イノシシの感染防止の3点について、市議会および地元農協とともに愛知県に対して要望書を提出いたしました。

本市の養豚産業を守るため、畜産農家の皆さんの支援を行うとともに、風評被害が広がることのないよう、しっかりと対応し、市民の皆さんが安心できるよう、市としても万全の対策をとってまいります。

さて、私が市長に就任して、早いもので、まもなく4年が過ぎようとしています。思い起こしますと、就任以来、生まれ育ったこの渥美半島を元気にしたい、との熱い思いを胸に、ひとつひとつ着実に市政運営に取り組んでまいりました。

まだまだ取り組むべき課題が多くありますが、「田原市に住んでみたい、住んで良かった」と思っていただけるような、魅力的なまちづくりを、しっかりと進めてまいります。

本市を取り巻く経済・社会動向

わが国の経済動向は、企業収益が過去最高となる中で、設備投資が増加するとともに、雇用・所得環境の改善により、個人消費の持ち直しが続くなど、緩やかな回復が続いています。

今年10月には、消費税率の引き上げが予定されており、国は、この需要変動を乗り越えるため、あらゆる施策を総動員するとともに、引き続き、「経済再生なくして財政健全化なし」を基本とし、経済の潜在成長率を高めるため、「人づくり革命」と「生産性革命」に取り組んでいるところです。

こうした中、本市の財政状況は、中期財政計画のとおり、法人市民税率の引き下げや、合併算定替の縮減による地方交付税の減少に伴い、大変厳しい状況にあります。

予算規模が縮小する中、限られた財源を効果的に活かし、総合計画に掲げる都市将来像の実現と、総合戦略によるさまざまな地域活性化策を推進してまいります。

一方、社会動向として、持続可能な社会を実現するための開発目標「SDGs(エスディージーズ)」について、自治体の積極的な取組が求められています。

「SDGs(エスディージーズ)」は、2015年に国連で採択され、「誰ひとり取り残さない」という理念のもと、2030年までに達成すべき17の目標で構成されています。

本市においては、「たはらエコ・ガーデンシティ構想」などにおいて、すでに持続可能な社会の実現に向けて取り組んできておりますが、今後はさまざまな施策にも活かしていき、「元気な渥美半島づくり」を目指してまいります。

昨年の振り返り

さて、昨年を振り返りますと、市制施行15周年を迎えた節目の年であると同時に、豊川用水通水50周年の年でもありました。

水の恵みがあってこそ、渥美半島の農業は飛躍的に成長し、全国有数の「農業のまち」へと発展を遂げました。

改めて、この実り豊かな渥美半島を、確実に次世代に引き継いでいこうという思いをさらに強くしました。

また、昨年は、たび重なる台風により、農業関連施設や農作物等にたいへん大きな被害が発生しました。本市においては、施設の再建や農業資材の適正処理のための補助を行い、被災された農家の方々の負担軽減を図っているところです。

昨年9月には、世界最高峰のサーフィン大会である「ワールドサーフィンゲームス」が赤羽根ロングビーチにおいて開催されました。

大会期間中には、世界42か国から197人の選手、約5万人の来場者があり、会場は熱気に包まれました。

この大会を通して、全国有数のサーフスポットとして、広く国内外へこの地域の魅力を発信できたことは、非常に大きな収穫でした。

サーフィンについては、東京オリンピックに続き「2024年パリオリンピック」においても追加種目の候補となったことが、先日、発表されました。

また、2026年には愛知県で「第20回アジア競技大会」の開催が予定されています。

競技種目の決定には、「パリオリンピックで提案された競技を対象に実施される」ということでありますので、7年後のアジア競技大会では、サーフィンが競技種目として取り入れられる可能性が高くなってきました。

県内でも有数のサーフポイントを持つ本市としては、大変喜ばしいことであり、大会の実現に向けて、また、大会を通した社会インフラの整備についてもしっかり取り組んでまいります。

アジア大会開催の夢を見つつ、さらには、「田原市サーフタウン構想」の本来の目的である、「交流人口の増加」、「住む場所の確保やコミュニティの活性化」、「地域消費の拡大」につなげていき、その勢いを市全体へと波及させていきたいと思います。

また、11月には、「第10回全国どんぶりサミット」が、サンテパルクたはらで開催され、全国8県から17種類のどんぶりが登場しました。

「渥美半島どんぶり街道」からも、「大あさりかつ丼」が出店し、2日間で約5万7千人にご来場いただき、大盛況となりました。

今回のイベントを、一過性のものとすることなく、今後のまちづくりにしっかりとつなげてまいります。

これらの「渥美半島の観光やスポーツ」、「全国有数の農業や工業」を、しっかりと支えていくためには、交通ネットワークの充実が欠かせません。

安全で快適なまちづくりを進めるためにも、本市の脆弱な道路環境を克服し、将来に向けて発展性のあるまちづくりにつなげてまいります。

予算の大綱

予算編成の重点施策

それでは、これらを踏まえ、平成31年度予算の大綱についてご説明いたします。

先に触れたとおり、わが国の景気は緩やかな回復基調にあるものの、本市においては減収要因が多く、厳しい財政状況が続くものと考えております。

こうした中でも、歳出全般にわたり、優先順位を洗い直し、「総合計画第13期実施計画」や「まち・ひと・しごと創生総合戦略」に掲げる施策を着実に実施し、魅力あるまちづくりを推進するとともに、市民の皆さまの安心安全を守り、快適な暮らしの基盤づくりに努めてまいります。

平成31年度の予算編成における重点施策としては、

「住んでみたい・訪ねてみたいまちづくり」、

「住み続けたいまちづくり」、

そして「未来につながるまちづくり」の3つの柱を掲げ、施策や事業の推進を図ってまいります。

予算の概要

平成31年度の一般会計予算額は、「297億2千万円」となっております。

前年度に比べ、「7億8千万円」の増加となりましたが、これには、「新斎場の整備」や「伊良湖岬小学校の新校舎整備」などの一時的な増加要因が上積みされているためであり、これらを除けば、「約4億6千万円」の減少となっております。

また、特別会計、企業会計の合計「129億6千万円」を含めますと、全体では、「426億8千万円」となり、前年度と比較し「5億7千万円」増加しています。

歳入の状況については、市税収入は「約155億円」で、企業業績の伸びを考慮し、一時的な上昇を見込んでおりますが、10月から予定されている法人市民税率の引き下げにより、2020年度以降は大幅な減少が見込まれます。

さらに、地方交付税が合併算定替の縮減等により、約11億円の減少となり、今後も減少傾向が続きます。また、県支出金も補助事業の完了により、約9億円の減少となり、不足財源につきましては、市債、繰入金等で対応します。

このほか、ふるさと納税などによる寄付収入の充実、基金や市債の適正かつ計画的な運用などにより、安定的な財源確保に努めてまいります。

次に、歳出の状況ですが、全体としては必要なサービス体制を維持しつつも、内容を見直し、財政規模の縮小に合せてスリム化を図るとともに、未来へつながる投資はしっかり進めてまいります。

性質別では、人件費、扶助費は前年度と同水準で、公債費については、償還額が減少しており、「義務的経費」全体では、前年度と比較して若干の減少となっています。

物件費や維持補修費などの「その他経費」については、全体的には「約116億円」と、前年度並みの予算を確保しております。

それらを踏まえて、普通建設事業などの「投資的経費」については、前年度比プラス26.3%となる約58億円を確保し、市民サービスの維持、また、将来への投資をしっかり図ってまいります。

平成31年度の重点施策

引き続きまして、3つの基本方針に基づき、重点施策についてご説明いたします。

住んでみたい・訪ねてみたいまちづくり

1点目の「住んでみたい・訪ねてみたいまちづくり」については、特に、「定住・移住の促進」、「交流人口の拡大」、「働く場の創出と産業基盤の充実」に重点的に取り組んでまいります。

本市の人口異動を見ますと、転入者数は、平成18年の約2千人をピークに、徐々に減少してきております。

そのため、「定住・移住促進奨励金制度」の継続や、「空き家・空き地バンク」の運営などにより、若い世代の住宅取得を支援することで、積極的に本市への定住・移住を促進してまいります。

また、赤羽根地域を中心に、サーファーをはじめとする若者・子育て世代の移住者を増加させるため、「田原市サーフタウン構想」を推進しています。

この構想において、重点整備地区に位置付けている「(仮称)弥八島海浜公園」の具体的な活用を検討しており、現在、民間事業者から幅広い事業アイデアを募集するため、「サウンディング型市場調査」を実施しています。今後は、調査結果を踏まえ、事業化に向けた検討を進めてまいります。

市街地につきましては、「田原市街地」では、区域拡大を検討するための意向調査を実施してまいります。「赤羽根市街地」では、組合施行の土地区画整理事業を支援し、住環境の整備を図るほか、「福江市街地」では、地域や商業者と協働で、市街地活性化のための検討を始めてまいります。

「交流人口の拡大」については、ふるさと大使を活用したPR活動や、ふるさと納税を通じた特産品のPRなど、戦略的なシティセールスを推進してまいります。

さらに、観光地としての魅力を向上させるため、新たに温泉資源の活用やサイクルツーリズムの推進に向けた自転車周遊ルートの設定に取りかかるほか、昨年の「全国どんぶりサミット」を活かし、「渥美半島どんぶり街道」のさらなる発展を目指したイベントの実施など、本市の強みである美しい自然や地域産業について発信し、交流人口の拡大を図ってまいります。

「働く場の創出と産業基盤の充実」としましては、日本一の産出額を誇る農業分野では、「和地太田地区をはじめとする農業基盤の整備」や、競争力アップを図るための「畜産クラスター事業」を継続して実施するとともに、「農家への就農希望者の受け入れ」や「経営開始型給付金の支給」などにより、新たな担い手の育成・確保を進めます。

また、マレーシアなど海外への農産物の販路拡大を支援するとともに、フラワーアーティストによる講演会の開催など、花きの産地としてのPRも行ってまいります。

水産業においても、「あさり稚貝採取」への支援、「渥美湾の水質調査」の実施、漁港施設の長寿命化などについて進めてまいります。

工業分野では、「トップセールス」や「企業への個別訪問」、「各種フェア出展」等を継続するとともに、一層の企業誘致を図るため、「田原公共埠頭のマイナス10メートル耐震強化岸壁」の整備を推進してまいります。

また、商業分野では、「渥美半島たはらブランド」の付加価値を高めるため、「プレミアムブランド」の認定を実施し、販路拡大や中小企業者への支援を拡充するとともに、「商工団体の支援充実」を図り、地元商工業の活性化を図ります。

住み続けたいまちづくり

続いて、大きな2点目の「住み続けたいまちづくり」については、「利便性の向上と安心安全の確保」、「出産・子育て環境の充実」、そして「教育環境の充実」など、市民生活に欠かすことのできない、さまざまな施策・事業を推進してまいります。

はじめに、「利便性の向上と安心安全の確保」についてですが、生活の利便性を向上させるためには、道路整備が最も重要な課題です。

高速道路のインターチェンジまで1時間以上という、本市の弱点を克服するための「渥美半島を縦貫する信号のない道路」の実現に向けて、引き続き、国や県へ積極的に働きかけてまいります。

そのほか、市街地の活性化を進めるとともに、道路・河川施設の充実、上下水道施設・公共交通機関の適切な維持管理など、都市機能として欠かすことのできない公共インフラを強化し、住みやすく魅力的な都市づくりを進めます。

また、防災面では、「常備消防力」を強化するほか、「女性の視点を取り入れた防災ハンドブック」を新たに作成し、防災意識を高めてまいります。

さらに、津波対策の充実を図るため、「小中山地区へ津波避難施設整備」に向けて準備を進めるとともに、地域防災の要となる自主防災組織の活動を、引き続き支援してまいります。

「出産・子育て環境の充実」では、いよいよこの春に、親子交流館「すくっと」がオープンします。この施設には、大型遊具やボルダリングコーナーがあり、雨の日でも親子で楽しく遊び、多様な世代が交流することができます。

また、「妊娠・出産・子育て総合相談窓口」を開設し、「妊産婦訪問」や「産前・産後講座」などを実施するとともに、「子育て支援ルーム」や「一時預かりルーム」なども設置し、妊娠期から子育てに対する支援を充実させてまいります。

「保育」につきましては、各施設の充実を図りつつ、2020年の開園を目指し、幼保連携型認定こども園「童浦こども園」の整備への支援を行ってまいります。

また、土曜日集合保育や休日保育による「365日保育」を継続するとともに、「病後児保育」の実施に向けた準備を進め、子育てと就労等の両立を支援してまいります。

「福祉・医療」につきましては、地域の拠点病院であります「渥美病院への運営支援」を引き続き実施するとともに、「地域包括ケア」の充実を図ります。

そして、昨年4月に開設した「赤羽根診療所」についても、多くの方々に利用していただいておりますので、誰もが安心して暮らせる医療基盤の確立のため、しっかりと継続して運営していきます。

さらに、健康づくりの意識を啓発する「健幸アンバサダー」の養成や、新成人へのピロリ菌検査の無料受診、おたふくかぜや風しん予防接種の一部助成など、市民の健康増進のための取り組みを、新たに始めてまいります。

「教育環境の充実」では、「伊良湖岬小学校の整備」を進め、その他の学校についても「教室棟や体育館などの改修」を計画的に行うとともに、「エアコンの設置」や「トイレの洋式化」を早急に実施し、教育環境の一層の向上に努めます。

また、本市の教育機能と文化財の整理・収蔵機能を集約し、旧野田中学校を「ふるさと教育センター」として整備・運営し、ふるさと学習の充実を図ります。

さらには、新たに「高校生のバス通学助成制度」を創設し、子育て世帯の負担軽減と市内バス路線の利用促進を図ります。

これらの取組により、「安心して、子どもを産み、育てることができまち」の実現を目指してまいります。

未来につながるまちづくり

最後に、3点目の「未来につながるまちづくり」につきましては、まず、環境に対する取組として、住宅用の蓄電池や燃料電池等への補助制度を新たに創設し、地球温暖化対策を推進してまいります。

次に、現在、造成工事を進めております「新斎場の整備」につきましては、2021年の供用開始を目指し、本体工事に着手してまいります。

また、老朽化した「し尿処理施設」についても、地域の皆様のご理解により、赤羽根浄化センターに受入施設を整備するため、施設建設や周辺道路の整備等にとりかかります。

一方、本市の多くの施設は、建築後30年以上が経過しており、今後、老朽化による大規模修繕などが必要になることが想定されます。

現状のまま、既存の施設を維持し続けることは困難であり、費用縮減に向けた取組が不可欠な状況にあります。

平成31年度は、旧成章高校赤羽根校舎の取壊しを行いますが、そのほかの施設についても「個別施設計画」の策定に着手し、長寿命化対策を進めるとともに、利用の少ない施設は、民間活用や廃止も含めて、積極的に公共施設の適正化を進めます。

また、広域の取組として、東三河広域連合による「介護保険事業」や「滞納整理事務」、「パスポート発給事務」などについても、8市町村一体となって、サービスの充実を図りつつ、業務の効率化に努めてまいります。

なお、先にお話したとおり、税制改正による法人市民税の大幅な税収減が迫っております。今後も、行政改革によるサービスの最適化や、保有施設の圧縮等を進めるとともに、新たな財源確保に向け、創意工夫を図ってまいります。

終わりに

以上が、新年度予算の大綱と重点施策でございます。

予算規模の縮小により、厳しい財政状況が続くものと想定されますが、こうした中でも、将来を見据えて必要な投資は行っていかなければなりません。

昨年の「ワールドサーフィンゲームス」や「全国どんぶりサミット」では、多くの子どもたちの笑顔に出会いました。

次の世代を担う子どもたちが、誇りを持つことのできる、元気な渥美半島を創っていくため、平成31年度予算は、“さらなる飛躍への礎を築く”予算として編成し、地域の魅力を磨き、将来への基礎固めに取り組んでまいります。

市民の皆様の、格別のご理解とご協力をお願い申し上げ、平成31年度の施政方針とさせていただきます。

ありがとうございました。

平成31年2月25日

田原市長 山下政良

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